戦術的な変化も垣間見えた2年目のタイブレーク甲子園
8月20日(火)の準決勝を終え「第101回全国高等学校野球選手権大会」もついに決勝進出の2校が出そろいました。履正社(大阪)と星稜(石川)の皆さんには今大会から設置された決勝戦前の休養日を存分に活用し、「これぞ日本の高校野球」たる試合を創り上げてほしいと思います。ちなみにこの決勝戦、これまでの「延長13回・無死一・二塁からのタイブレーク」と異なり「延長15回制・引き分け再試合」ということを事前に知っておけばちょっと周りに自慢できるかも?
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第101回全国高等学校野球選手権大会
今大会では戦術的な変化も垣間見えた
写真:共同通信
ということで、今回は準決勝をもって甲子園2年目の導入が終わった「タイブレーク」について少し考えてみましょう。
昨年のセンバツから導入されたタイブレークもこれが4大会目。導入試合数は「0・2・0・1」でまだセンバツでのタイブレーク突入はありません。そして導入初戦・延長14回表に1点を勝ち越して決着した第100回大会1回戦・佐久長聖(長野)vs旭川大(北北海道)を除く2試合裏の延長13回のサヨナラアーチで決着しています。そしてそのいずれも星稜(石川)が絡んでいることも特筆すべきでしょう。
また、今大会では戦術的な変化も垣間見えました。それはタイブレークの設定である「無死一・二塁」からの展開力・防御力に明らかな成長が見られること。攻撃では一死三塁からのエンドランや満塁でのスクイズも躊躇なくこなした明石商(兵庫)が象徴的ですが、防御面でもバントシフトを仕掛け三塁進塁を阻止する場面も多々見られたように感じます。
「特段タイブレークの練習はしていませんが、無死一・二塁からのケースノックやケースバッティングは増やしました」これは現場からよく聞かれる言葉。これまで重要であることはすべての関係者が理解していながら、ともすると犠牲バントを中心に「一死二塁・一死三塁」を作り、これまでは、作らせない練習が多かった高校野球にとって大きな変化といえます。
これはさらに言えば20日(火)に侍ジャパンU-18代表が発表された「第29回WBSC U-18野球ワールドカップ」など国際大会では延長10回から導入されるタイブレークへの順応力を高め、国際競争力を醸成する意味でも好ましい傾向でしょう。
このように2年を経て認知度・理解度が大きく上がった「タイブレーク」。導入3年目となる2020年以降も地方大会・甲子園決勝戦での導入など、選手・観客の負担を極力減らし、次のステージに対応するためにさらなる議論が求められそうです。
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