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【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.14


富浜 琉心(帝京)

今年の春季都大会は帝京の5番富浜 琉心内野手(3年)のサヨナラ本塁打という劇的な幕切れで帝京が2年連続優勝を果たした。低反発バットが導入されて初の都大会になったが、本塁打は昨年と数字と比較すると、意外にも多かった。二松学舎大附日大三が3回戦で敗れ、夏はノーシードで戦うことになるなど、波乱も多かった。春季都大会を振り返りつつ、夏の大会を展望する。

宇野(早稲田実)、富浜、奈良(帝京)など都内屈指のスラッガーが本塁打3本を記録

3月31日に閉幕したセンバツ高校野球では、31試合で本塁打3本と、金属バットの使用が認められてからの最少を記録した。その翌日から始まった都大会では、意外と多くの本塁打を記録した。3回戦から決勝戦までの31試合で、本塁打は16本もあった。投手のレベル、球場の大きさの違いなどもあるので、単純に比較はできないものの、昨年の春季都大会の3回戦以降の本塁打も16本で変わっていない。

今大会で本塁打の数字に決定的な影響を与えたのは昨年の春に続き優勝した帝京だった。帝京は昨年の春季都大会では本塁打が0本であった。ところが今年は、1回戦から決勝戦までの7試合で9本も打っている。決勝戦で劇的なサヨナラ本塁打を放った富浜 琉心は、1回戦の初回にも本塁打を放っているうえに、準決勝でも記録しており、大会中に3本。主砲の奈良 飛雄馬内野手(3年)も3本放っているほか、7番の安部 育規(3年)が2本、1番の表西 優志外野手(3年)が1本と、打順に関係なく本塁打を記録している。もし昨年同様、本塁打を打っていなければ、今年の優勝は難しかった。

帝京は昨年の秋、9月17日に行われた1次予選で二松学舎大附に敗れ、いち早く低反発の新基準バットに切り替えて練習した。金田優哉監督は大会中の取材で、「新基準バットでどうしても飛距離は落ちます。だからといって長打を諦めたくなかった。例年以上にトレーニングの内容にはこだわって、質の高いトレーニングができた自信はあります」と語り、フィジカルを徹底的に鍛えた成果が、9本の本塁打になって表れた。新基準のバットになり、どのチームも当面は試行錯誤が続くだろうが、帝京は、しっかり鍛えれば、変わらず長打を打てるというモデルケースを提示したともいえる。

帝京以外では、宇野 真仁朗内野手(早稲田実=3年)が、木のバットで3本の本塁打を放った。木のバットだと「しなりが違います」と宇野は言う。高橋 徹平内野手(関東一=3年)の一発や、阪野 拓海外野手(東海大菅生)の場外弾などは、低反発のバットであることを忘れるほどの豪快さであった。

木製バットを使う宇野 真仁朗(早稲田実)

その一方で、二松学舎大附東京に敗れた試合、日大三佼成学園に敗れた試合、関東一修徳に敗れた試合、早稲田実明大中野に敗れた試合は、いずれもロースコアの接戦であり、新基準のバットが影響を及ぼした部分もある。
低反発のバットになり、守備の重要度が今まで以上に増した。これまで届かなかったような球際の打球を捕球できるようになった一方で、ボテボテのゴロや、野手の間に上がる小フライなど、野手の技術が求められる打球が増えた。「バッティングがいいから、守備には目をつぶってという選手は、起用しにくくなりました」と語る監督もいた。

次のページ:秋の大敗の汚名返上を果たした帝京、國學院久我山、明大中野

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この記事の執筆者: 大島 裕史

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