Column

選手の同志!適応力を課題に選手を支える日大桜丘マネージャー

2018.11.28

 世田谷区にある日大桜丘高校。野球部を支えるマネージャーの活動について様々な角度から迫った。

選手との関わりの深さを証明する新聞


日大桜丘マネージャーの皆さん

 日大桜丘の野球部員は38名。その38名の部員を支えているのが2年生の伊坪日菜子さんと蔵方陽菜さん、そして1年生大塩裕花さん、木下捺貴さん、木村理乃さんの3名のマネージャーだ。

 この5名の主な仕事はノック時の球出し、試合ではヒットかエラーの判定で迷いながらもスコアの記入、さらにはタイム計測など野球関連の仕事。また、おにぎりや飲み物の準備など、部員を様々な角度から支えている。その際、アップシューズなどは防水のモノが活動には役立つので、他の学校にもおすすめをしたいと話してくれた。このような仕事は他の高校でもよく行われていることだろう。

 こうした様々な活動で選手を支える日大桜丘のマネージャーは、少し変わった活動も行っている。それは1か月に1度発行する新聞の作成である。これは1か月の試合結果をはじめ、その月が誕生日の選手を紹介などをしている。新聞の発行は、一人一人の選手とマネージャーの関わりが深い日大桜丘の野球部だからこその特徴であるだろう。

 活動を通してやりがいを感じることは、マネージャーの細かい仕事に気づき、選手から「ありがとう」と言ってくれる時だ。

 そんな日大桜丘のマネージャーが他の高校に負けない、という絶対の自信を持っているのが「適応力」である。一人一人に合ったマネジメントをしていくことを今年の代の目標に、臨機応変な対応を素早くとること。さらには常に先を考え行動することの2点を意識している。このような行動により選手から「ありがとう」という言葉が生まれるのだろう。

 活動の中で楽しいと感じる時間は、合宿のようなつらい練習を乗り越えた時。この瞬間に野球部全体で達成感を感じることで、同じ気持ちになれるからだ。選手をしっかり見ることを心がけているからこそ、それぞれの気持ちを理解しあえるに違いない。

 夏の大会で駒大高に敗れ引退していった3年生の部員、マネージャーについては手の届ない憧れの存在だったという。そんな先輩と戦った夏の大会で最も記憶に残っていることは、夏の大会での初勝利を挙げたこと。昨夏は初戦で敗退して悔しい想いをしたこと、そして日々努力し続けている姿を一番近くで見てきたからこそ最も記憶に残ったのだ。

 選手たちの努力している姿を見るマネージャーだからこそ、今までヒットが出ていなかった選手が打ったときや、あまり足の速くない選手が盗塁を決めたときなど、苦手なことを克服したときや努力して結果を残したときにかっこいいと感じている。

 日々成長し続けるみんなを近くで見ていていきたいと、成長していく姿に胸を膨らませているマネージャーを代表して、2年生の伊坪日菜子さんに次のページでお話を伺いました。

[page_break:同じ気持ちで戦いたい「おせっかいな幼なじみ」]

同じ気持ちで戦いたい「おせっかいな幼なじみ」


日大桜丘 2年生マネージャー:左から蔵方陽菜さん、伊坪日菜子さん

 2年生の伊坪日菜子さん。中学校ではバドミントン部として活動していた。そんな伊坪さんは、中学生のときに見た最後まで仕事をこなすマネージャーの姿を見て、マネージャーになろうと決心した。それからは最後まで選手と同じ気持ちで戦うマネージャーになりたいという思いで活動を続けている。

 そうした心がけがあるからこそ、マネージャーの活動を通して人のことを自分のことのように喜べるようになった。また試合で選手が活躍をしている姿を見ることが一番の喜びだと語るのは、普段の努力を近くで一生懸命になって支えているからこそ感じることだろう。

 もしマネージャーの活動をしてなかったら人と関わることが苦手な、引っ込み思案な性格のままだったのではないかと答えてくれた。

 そんな伊坪さんだが、これまで思うように行動できない時や、周りと比べたときは落ち込むことがあり、挫折しかけたこともあった。しかしそんなときに、選手や監督から「今のままでいいよ」と言ってもらえたことが自信になり、乗り越えられたことが心に残っている。

 今後も一人一人に寄り添ったマネジメントで選手とともに日々成長し、近くで38人全員を支えていくと宣言してくれた。今では後ろ姿だけでも誰なのかわかるようになった伊坪さんたちマネージャーを、キャプテンの佐藤匠も「チームにとってマネージャーは同志」だと答えてくれた。こうしたコメントからも、選手とマネージャーの信頼関係が強いことが伺える。

 伊坪さんの活動の様子を見ていると、選手と分け隔てなく接している印象だった。その姿は「おせっかいな幼なじみ」がマネージャーだと考える伊坪さんのイメージ通りだった。

 伊坪さんの目指す、最後まで選手と同じ気持ちで戦えるマネージャーに着実に近づいていると感じた。そんな伊坪さんが選手と共に戦う高校野球は、まだまだ続いていく。

(文=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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