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【東東京展望】関東一と二松学舎大附の2強時代は夏まで続くのか?それを阻む学校は?

2016.06.02

 7月2日から開幕する東京東西大会。抽選会前に各校の有力校、有力選手を紹介していきたい。まずは東東京から。

関東一、二松学舎大附の2強時代


左から 佐藤 佑亮(関東一)、大江 竜聖(二松学舎大附)

 1970年代から90年代にかけて、帝京と当時は東東京であった早稲田実のライバル対決は熾烈で、東京の高校野球を盛り上げた。今日、関東一と二松学舎大付の関係は、その域に近づきつつある。秋と春の都大会の決勝は、ともに関東一と二松学舎大付で、2回とも関東一が勝って優勝した。関東一オコエ瑠偉(楽天関連記事)ら、甲子園4強のメンバーがごっそり抜け、小粒になった感じは否めなかったが、身体能力が高い選手が集まり、日替わりでヒーローが生まれる。

 センバツでは東邦の好投手・藤嶋健人関連記事に完璧に抑えられたが、それが刺激となり打撃を強化。春季都大会では日大三小谷野楽夕のスライダーを打ち砕き、関東大会では、プロ注目の島孝明関連記事を攻略した。

 外野手の本橋 慶人、捕手の佐藤 佑亮は長打力と足があり、外野手の宮本 瑛己は、30メートル走ならオコエに負けない快速の持ち主。そのうえ関東大会では、1年生の石橋 康太が勝負強い打撃をみせ、同じく1年生の宮田 蒼太がセンスの光る守備をみせた。投手陣は左の佐藤 奬真がエースになり、右の関東一河合 海斗竹井 丈人それに、伸び盛りの高橋 晴小川 樹と、数は揃っている。

 二松学舎大付は、2年前の夏に「1年生トリオ」として注目された左腕の大江竜聖、捕手の今村大輝関連記事、内野手の三口英斗が、最後の夏を迎える。大江はこの春やや力みがあったものの、大人の投球ができるようになった。今村は打球の飛距離が一段と伸び、三口は主将としてチームを引っ張る。

 加えて、パワーと足のある永井 敦士、控え投手も兼ねる市川 睦と連なる打線は、全国的にみてもレベルが高い。けれども、2大会続けて関東一に敗れるという現実に、市原 勝人監督は春季都大会の決勝戦の後、「どちらかというと甘い」と語った。関東大会では、中沢 航介堀川 尚希という2人の1年生をスタメンで起用。チーム内の競争の中に、厳しさを打ち出している。

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[page_break:投手力充実の東亜学園、都立城東 / 日本ウェルネス、夏も旋風を起こせるか!?]

投手力充実の東亜学園、都立城東

関根 智輝(都立城東)

 かつて東亜学園といえば、ドラフト1位で広島に入団した川島 堅をはじめ、投手陣の良さで知られた。近年はやや打力優勢になっていたが、今年は投手王国が復活しつつある。秋までは4、5番手だったが、制球の良さを買われてエースになった田原 芳紀は、微妙に動く変化球で関東一などに好投。春季都大会4強進出に貢献した。長身の右腕・青木 大河、球威のある左腕・鈴木 裕太など、投手陣は充実。打線は、主将の鈴木 翼が牽引する。

 都立城東は、エース・関根智輝関連記事の成長が何よりも頼もしい。最速144キロのストレートを武器に、気持ちの入った投球をする。さらに縦横のスライダーを磨かれ、投球全体でレベルアップを果たしている。打線は秋までは関根頼みであったが、主将の高野 慎太郎なども得点に絡むようになり、春季都大会の準々決勝では、関東一に9回降雨ながら引き分けるなど、東大野球部出身の池上 茂監督も、手応えを感じる。

 現時点で評価が難しいのは、名門・帝京岡崎 心郡 拓也佐藤 怜などが並ぶ打線は、間違いなく強力。しかし問題は投手力。春季都大会では捕手の郡も含め6人が登板。秋の主戦である安村 陸人高丸 優太は、春はベンチ入りすらしておらず、誰が軸になるか、見当もつかない。

日本ウェルネス、夏も旋風を起こせるか!?

渡部 健人(日本ウェルネス)

 その他のシード校は、修徳岩倉、江戸川、東京日本ウェルネスの4校。修徳はプロ注目の外野手・淵上 聖司をはじめ、準々決勝に進んだ昨夏のメンバーがほとんど残り、戦力的には、上位5校と遜色がないが、秋、春とももろさを露呈している。

 岩倉は、1番で捕手の伊勢 海星の打撃がいい。高校に入って左打ちに変えたことで飛距離が伸び、春季都大会では本塁打3本を記録した。江戸川も、早大学院柴田 迅関連記事からサヨナラ本塁打を放った星野 充など、打線が充実している。

 春季都大会で旋風を起こしたのが、東京日本ウェルネス。1回戦から3回戦まで全て1点差で、1回戦と3回戦は逆転サヨナラ。横浜商大から転校してきた強打の渡部 健人は春は不振であったが、それでも勝てたことに美齊津 忠也監督はむしろ手応えを感じる。青森山田などを指揮した美齊津監督の守り勝つ野球が、夏どこまで通用するか注目だ。

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[page_break:シード校以外でも高いレベル]

シード校以外でも高いレベル

 2強の存在が際立っている東東京ではあるが、シード校になれなかったチームにも、注目すべき選手、チームは多い。打撃で注目なのが、春は初戦敗退ながら、秋は4強東海大高輪台のリードオフマン・嶋崎 草太郎と4番の大西 星夜。秋と春ではあまりに成績の差が激しいが、宮嶌 孝一監督が「紙一重だと思います」というように、良い展開になれば、夏も旋風を起こし得る。

 投手力では、ともに最速が140キロを超える横手投げの川西 雄大、本格派の大竹 義輝を擁する明大中野が面白い。春は不振だったが、長身の本格派・矢崎 裕希(小山台)、球威のある小幡 圭輔立教池袋)なども、本来の投球を期待したい。

 チームとしてのバランスの良さでは、堀越駿台学園の名が挙げられる。第1回東京大会準優勝の荏原中学を引き継ぐ日体荏原は、この春から日体大荏原に校名を変更。監督には、雪谷の監督であった相原 健志が就任し、名門復活を目指す。

 相原監督が抜けた雪谷は、神子 堅吾を中心とした打撃のチームを目指す。その雪谷を、春の1次予選で延長11回を4安打完封した神戸友彰(葛飾野)は、この試合のサヨナラ弾を含め、1次予選都大会と4試合連続本塁打を記録。父親がガーナ人のブライト 健太は身体能力が高く、葛飾野には、興味深いタレントが揃っている。

 春は八王子に大敗したものの、東京実は左腕・横山 恒平の変化球のキレがよく、4番の福島 大涯は巨体の割に、器用な打撃をする。昨夏準優勝日大豊山は、左腕の山本 日向の投球がカギを握る。成立学園では大角 健人の打撃が注目される。

 関東一、二松学舎大付を東亜学園都立城東帝京などが追う展開であることは確かだが、シード校外にも力のあるチームが多く、序盤から気の抜けない試合が予想される。

(文・大島 裕史


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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