鳴門高等学校 【四国代表】
鳴門高等学校四国地区・徳島32年ぶり2回目
チーム紹介
- 秋季徳島大会(第64回徳島県大会)では決勝戦を除き5試合中4試合で二桁安打、チーム打率4割4厘でノーシードから18年ぶり11度目の優勝まで駆け上がった鳴門。続く秋季四国大会(平成23年度秋季四国地区高等学校野球大会)でも全3試合で二桁安打・4割2厘と引き続き好調が続いた打線をバックに42年ぶり3度目となる「秋の四国王者」に輝いた。
- とはいえ、強打線に概してありがちな「長打狙い」は、彼らには無縁。事実、長打は2大会計67安打中わずか21本。ホームランに及んでは県大会2回戦・生光学園戦(2011年09月23日)で杉本が放った3ランのみである。
- 「これまでは僕も綺麗なヒットを求めていたが、8月末からまず振ってプレッシャーをかけるように考え方を変えました」(森脇監督)。このようにあくまでチームのために、個々のゾーンに入ったボールを弾き返すシンプルな思考に立ち返ったことが、1番の河野から6番・松本までがそろって6打点以上。さらに主に8番を打つ後藤田、小林の投手陣が計13打点をマークする驚異的な得点力につながった。
- 県優勝校が4県持ち回りで四国代表として出場していた第10回大会以来32年ぶり2度目の出場となる明治神宮大会でも「自分はキャプテンだが、みんなで勝ち取った」(杉本)個とチームのバランス意識を持ったスイングを継続できるかが、上位進出へのかぎ。通算チーム打率4割3厘「渦潮打線」の真価は正に今大会で問われることになる。
- また、打線の出来と同時に勝敗を分けるポイントとなりそうなのは、昨夏選手権1回戦でも7失策、興南(沖縄)に大敗(0対9)する要因となったディフェンス力である。ショートの河野は7試合で失策5、四国大会決勝戦(2011年10月09日)を除き、全ての試合でフル出場。頭脳的なリードが光る丸宮も失策1の他に2つの捕逸を記録するなど、特に内野守備は決して磐石とは言えない状況。が、ここは50メートル走6秒2の島田がまとめる外野陣に倣った打球判断、ポジショニング準備の速さで、技術面の未熟さをカバーしたい。
- さらに積極果敢な走塁も彼らの魅力。6盗塁の2番の島田、5盗塁の5番・大和、3盗塁の9番・中野といった俊足を誇る左打者3選手を絡め、打順を問わず状況に応じてエンドランやバントを使い分けることにより、大量得点への礎を築く。なお、三塁コーチは郡、一塁コーチは岸が入る予定。守備タイム時は郡、ないしは只津が伝令役を担うことになっている。
- 指揮官は神宮大会について「四国代表として全国レベルを経験できることはいいこと。背伸びさせず、全体的なレベルを上げていく機会にしたい」と殊勝な抱負を語った。ただ実はこの神宮大会、前回出場時は島田茂(元ロッテ)、秦真司(現巨人1軍バッテリーコーチ)のバッテリーを軸に準優勝。その後の秋季四国大会ベスト4、翌年の春夏連続甲子園出場につなげたゲンのいい大会でもある。
- 四国大会優勝を決めるサヨナラヒットを放った日下、日下につなげた「代打の神様」水主、徳島大会では2回戦まで4番を張った伊勢といった多士済々の侍もベンチに控え、今回もゲンのよさを引き継ぐベースはある鳴門。もし前回出場時を越える最高の結果をマークしても、それは決して偶然ではない。
投手紹介
- 秋季県大会、四国大会では最速135キロ2年生右腕コンビ・後藤田、小林が2本柱を形成。2人の他にサウスポーの只津もベンチ入りしていたが、秋季公式戦の登板機会はなし。よって今大会もこの2人のいずれかが先発マウンドに上がることが確実視される。
- 鳴門市第一中時代から四国内では注目を集め、1年夏の甲子園でもベンチ入りしながら、この一年間は故障続きだった後藤田は、秋季県大会でも背番号「10」。ただし、生光学園、鳴門工相手といった強豪相手に先発、主導権を渡さない粘り強いピッチングを披露したことにより、四国大会では待望のエースナンバーを与えられた。
- これにより水を得た魚のように躍動感を増した彼のフォームは、センバツ出場を左右する準決勝・高松商戦(2011年10月29日)における無四球1失点完投勝利で現時点での完成形を見ることに。明治神宮大会ではカーブ、スライダーに加え、チェンジアップ気味に落ちるフォークを駆使しての「これまで一番のピッチング」を超える成果が今大会でも期待される。
- 県大会防御率は5.57、2大会通じての防御率は4.11の後藤田だが、調子は県大会時から比較にならないほど上昇一途。対戦相手は少なくとも四国大会における「1.93」の防御率と、計35回を投げ四死球7の制球力を見込んだ、綿密な後藤田対策を練るべきだろう。
- 今春、今夏県大会(第93回徳島県大会)では、後藤田不在時の鳴門投手陣を一年先輩の大端秀志と共に支え、県大会でもエースナンバーを背負っていた小林も、後藤田と全く同じ球種を操り、県大会3試合23回を投げ、防御率0.39の数字が示すように、左打席での巧打と共に勝負強さが持ち味の実力者である。
- 計10四死球を与えた県大会での制球難を森脇稔監督に疑問視され、後藤田と背番号を入れ替えられた四国大会では決勝戦で意地の4失点完投勝利を果たした小林。「エースナンバーを奪い返したい」と後藤田へのライバル心を隠さない彼の闘志がプラスに働けば、神宮大会では後藤田から小林、ないしは小林から後藤田への継投を描く指揮官構想も、問題なく軌道にのってくるはずだ。
公式戦8勝0敗
勝ち上がり | 相手 | |||
---|---|---|---|---|
徳島県大会 | 1回戦 | ○ | 8-1 | 城北 |
2回戦 | ○ | 12-7 | 生光学園 | |
準々決勝 | ○ | 20-0 | 阿南工業 | |
準決勝 | ○ | 7-5 | 鳴門工業 | |
決勝 | ○ | 3-1 | 川島 | |
四国大会 | 準々決勝 | ○ | 16-2 | 今治西 |
準決勝 | ○ | 7-1 | 高松商業 | |
決勝 | ○ | 5-4 | 高知 |
四国大会での登録選手(◎:主将)
背番号 | 名前 | 学年 | 身長 | 体重 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 後藤田 崇作 | 2 | 177 | 76 | |
2 | 丸宮 太雅 | 2 | 173 | 72 | |
3 | ◎ | 杉本 京太 | 2 | 180 | 70 |
4 | 中野 勇輝 | 1 | 167 | 55 | |
5 | 松本 高徳 | 1 | 172 | 80 | |
6 | 河野 祐斗 | 1 | 170 | 68 | |
7 | 稲岡 賢太 | 1 | 170 | 75 | |
8 | 島田 寿希斗 | 2 | 171 | 69 | |
9 | 大和 平 | 2 | 180 | 65 | |
10 | 小林 直人 | 2 | 173 | 63 | |
11 | 甲本 裕次郎 | 1 | 175 | 60 | |
12 | 郡 俊毅 | 2 | 165 | 60 | |
13 | 水主 寛 | 2 | 177 | 75 | |
14 | 日下 大輝 | 1 | 172 | 72 | |
15 | 坂東 湧梧 | 1 | 177 | 62 | |
16 | 伊勢 隼人 | 1 | 182 | 90 | |
17 | 箕浦 悠成 | 1 | 172 | 80 | |
18 | 林 祐生 | 2 | 165 | 61 | |
19 | 岸 佑一 | 2 | 163 | 67 | |
20 | 只津 圭 | 1 | 171 | 60 |
記録員 | 田渕 奈那美 |
監督 | 森脇 稔 |
部長 | 武田 博史 |
■高校別データ:鳴門
文:寺下友徳