前田 悠伍選手 (大阪桐蔭)
寸評
レポートから抜粋 その投球は、まさに2年生世代NO.1という評価に相応しいものがあった。 5回戦の東海大大阪仰星戦では4回無失点もやや制球を乱し、138キロにとどまり、らしさを欠いたが、中3日でしっかりと修正できていた。修正点は重心の掛け方だ。東海大大阪仰星戦では両足ともに踵重心になっていた。 「踵重心になったことで、体が反る形となって、バランスを崩して投げる形となっていましたので、まずはしっかりと立つこと。その時から体を反らさないように意識すること。体重移動は気持ち一塁側で、やや突っ込むイメージで投げました」 調整日の投球練習の際に動画を撮影してもらいながら、修正を図ってきた。球場に向かう途中で、先発を告げられた前田は「準決勝では投げさせるつもりはないといわれていましたので、そのつもりでした」と待ってましたといわんばかりに準備を行った。試合前の投球練習でも「だいぶよくなっていました」と手応えをつかんでマウンドに臨んだ前田は快投を見せる。 立ち上がりはコントロール重視で最速138キロ程度であった。1死からヒットを浴びたが、抜群の牽制技術で走者を刺した。その牽制は、湖北ボーイズの先輩・横川 凱投手(大阪桐蔭ー巨人)を彷彿とさせる牽制だった。前田は横川に憧れ、尊敬している投手と語り、「自分の牽制技術はまだまだですが、いずれはそういう牽制ができるようになりたいですし、さらには横川さんを超える投手になりたい」と意気込む。 初回を無失点で抑えたことでエンジンがかかった前田は2回からみるみる球速を上げ、2回と5回に最速147キロをマーク。3回以降も力を入れた時は当たり前のように140キロ台を計測する。前田はカウントを取る時は130キロ中盤〜後半だが、フルスロットルで投げた時の140キロ後半の直球は明らかに勢いが違って、ベース上でぐっと伸びてくる。 リードする松尾は「かなり勢いがありました。下半身をしっかりと使って投げることができていたと思います」と捕手から見ても、投球フォームに躍動感があった。前田は投げるポイントとして、リリースまで脱力し、リリースの瞬間に100の力を入れることを大事にしている。5回戦ではそれができなかったが、明らかにフォームの躍動感、リリースの安定性が違うので、ほぼベストピッチングに近かった。先発投手ながら、平均球速139.56キロと、高校2年生左腕ではトップレベルの球速だった。 さらに120キロ中盤〜120キロ後半のスライダー、110キロ前後のカーブ、120キロ前後のチェンジアップ、130キロを超えるカットボールといずれも高水準で、すべて低めに集めることができるため、空振りを奪うことができた。8回を投げ、7奪三振。大会通じて、13回無失点と圧巻の投球成績を示した。 この日の投球に大きな手応えを感じていた前田。自分が表現したい球を投げることができれば、全国クラスの打力を誇る履正社打線も圧倒する。 センバツでは圧巻の投球を見せてくれたが、この夏も世間を騒がせる投球を見せてくれるに違いない。 前田の各イニングの最速 1回 138キロ 2回 147キロ 3回 145キロ 4回 145キロ 5回 147キロ 6回 140キロ 7回 142キロ 8回 143キロ
更新日時:2022.08.14
短評
試合レポートから抜粋 今大会初登板となった先発・前田 悠伍投手(2年)は4回を投げて、74球、四死球5、5奪三振、無失点。安定感抜群の投球をずっと見ている者からすれば、こんな日もあるんだという驚きがあった。 直球は常時135キロ前後で最速は138キロ。球速が出やすい球場では140キロが出たかもしれないが、それでも、140キロ中盤を連発していた春季近畿大会と比べれば、物足りなさはある。また引っ掛けた直球が多く、ボール先行になることもあった。 それでも120キロ前後のスライダーをうまく投げ分け、要所で三振を奪うことができていた。 前田はいつもの感覚で投げることができなかったという。 「自分はリリースの瞬間まで脱力して、100の力でリリースできることを心がけています。ブルペンでは調子が良いほうだったのですが、久しぶりの公式戦のマウンドでずっと投げたい気持ちが力みに変わっていました」 思うように投げられない中、正捕手・松尾 汐恩捕手(3年)から発破をかけられながらも力投を見せて、「こういう中でも無失点に抑えられたことは良かったと思っています」と振り返った。西谷監督は「大会の流れから今日は先発させました。これから修正していってほしいです」と復調を期待していた。 前田自身、どういう感覚で投げれば、良い球を投げられるのかを、マウンド上で手探りしながら投げているような印象だった。これからの活躍を期待したい。
更新日時:2022.08.14
短評
試合レポートから抜粋 大阪桐蔭の連勝が「29」でストップした。嫌な流れがあった。 初回、先頭打者本塁打とエラー絡みで3失点。これで反撃ムードに乗るのは難しい。強力な智辯和歌山投手陣を最後まで打ち崩すことができなかった。色々と課題が出た試合。夏までどう生かすかが鍵になる。 2年生世代でNO.1左腕と称される前田 悠伍投手が先発したが、初回の点の取られ方はあまり見たことがないものだった。いきなり先頭打者本塁打。さらに失策絡みで2点を失い、計3失点。結果的に9安打も打たれ、センバツで見せた圧倒感はない。 前田の状態は悪いかというと決してそうではなく、むしろセンバツよりもパワーアップしていた。球場表示で最速144キロをマークし、手元のスピードガンでは最速143キロをマーク。終盤でも140キロを連発しており、速球の威力は落ちていなかった。さらに120キロ後半のスライダーと120キロ中盤のチェンジアップには切れ味があり、コーナーへ突くことができていた。 前田は初回の投球スタイルを悔やんだ。 「初回は智辯和歌山打線を様子見といいますか、慎重に入りすぎて、力のある球を投げることができなかった。途中から修正できたのですが、最初から100%の力で行くべきだったと思います」 高い制球力を誇る前田も、ホームランを打たれてからはボール球も多かった。これも流れかもしれない。智辯和歌山打線はレベルが高く4三振しか奪えなかったが、終盤でも厳しいゾーンに投げて、得点を与えなかった。 前田は「自分でこれまでの連勝を止めてしまったといっても過言ではないので、もう一度、投球パターンの入りとして、初回から100%でいくなど見直していきたい」と反省を口にした。ただ、1年秋から公式戦を経験して「自分のピッチングができれば、それほど失点することはない」という確信は持てた。 センバツからパワーアップし、140キロ超えが多くなるなど、着実にレベルアップしている。さらに攻略困難な左腕になるためにも「必然」の一敗だったかもしれない。
更新日時:2022.08.14
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