試合レポート

豊川vs安城

2022.09.12

5点差追いついた安城だったが、一歩及ばず、豊川がサヨナラ勝ち

豊川vs安城 | 高校野球ドットコム
サヨナラ勝ちに、歓喜しながら挨拶に並ぶ豊川の選手たち

<第75回愛知県高校野球選手権大会:豊川6-5安城(9回サヨナラ)>◇11日◇2回戦◇豊橋市民

 東三河地区の1位校としてシードの豊川。夏も、準々決勝で優勝した愛工大名電に敗れはしたものの、シード校としての責任は果たした安定した戦いぶりでの8強進出だった。この秋も、4強までの道のりとしては最も厳しいゾーンに入ったと言われているが、その初戦である。

 対する安城は前日に、格上と思われた私学の強豪・豊田大谷に9回に追いついて、延長の末に勝利して勢いに乗っている。西三河地区の公立校は、指導者たちの意識も高く「私学強豪を倒してやろう」という気持ちで取り組んでいる。

 そんな中でも、安城は、加藤友嗣監督が、さまざまなシチュエーションを想定しながら、「自分たちは今、どうしていくのがいいのか」というようなことをテーマとして掲げていっている。いわゆる格上と言われる相手に対しても、臆することなく立ち向かっていく姿勢を作っている。安城は、その先陣を切っている存在でもあり「西三河のくせ者」と言ってもいいであろう。

 その西三河のくせ者が、東三河1位の豊川にぶつかった。

 豊川安城の勢いを止めるべく初回に打者10人の猛攻。5番伊藤隆成捕手(2年)の中越え三塁打に、9番投手の川口颯太(2年)の右前2点適時打などで5点を挙げた。これで、安城の前日の延長で勝った安城の勢いは止められたかに思われた。実際、安城は3回まで一人の走者も出せなかった。だけど、安城ベンチは決して落ち込んではいなかった。「5点取られたら、取るしかないだろう」。

 そんな声が出た4回、一死から2番吉橋礼貴内野手(2年)がチーム初安打を放つ。二塁盗塁後、三振振り逃げで1死一、三塁となる。ここで、安城得意の重盗を仕掛けて、まんまと成功して1点を返し、なおも悪送球もあって三塁まで進む。4番川端朗仁内野手(1年)が中犠飛を放ち、もう1点を返す。

 走者はいなくなったが水越大和外野手(2年)が四球で出ると、暴投で二進。明らかに豊川バッテリーに動揺が見られた。6番・池田遼都内野手(1年)は三遊間をゴロで抜いて行って二走をかえして2点差。その後、失策もあり安城は5点差をこの回一気に1点差とした。

 豊川としては、何とか同点は阻止したという形になっていたが、流れは安城に来ていた。5回の安城は2死二塁に四球の走者を進めて2番吉橋。ベンチからは、「もう1回波は来るよ、流れはこっちだから」という声が掛かるが。それに呼応するかのように吉橋は三遊間を破る一打で二走をかえしてついに同点とした。

 こうして同点に追いついた安城。こうなると、試合の流れそのものも安城に傾いていきつつある展開でもあった。ただ、絶対的な戦力ということで言えば、豊川が上回っているということは否めない。そうした中で、それでも安城としては、「延長になったら、こっちのペースだ」という意識で、チームを鼓舞していたという。

 果たして、5対5からどんな展開になっていくのかと思われたけれども、8回に豊川は先頭の内藤大晴内野手(2年)がバント安打で出て、安城のお株を奪うかのようにエンドランを仕掛けながら2死三塁まで攻めていったが得点にはならなかった。

 安城も、9回2死走者なしから内山の二塁打で盛り上がったがあと一本が出なかった。

 ここまで来たら延長戦も視野に入ってくるところなのだが、豊川は9回、2死走者なしから4番遠渡真輝人内野手(2年)が左前打で出ると盗塁で2死二塁とする。そして、5番伊藤が左翼手の頭を越える打球を放ってこれがサヨナラ打となった。

 薄氷を踏む思いの勝利となった豊川の長谷川裕記監督は、「初回に、いい形で5点を獲れたのだけれども、それで安心したわけではないんですけれども、その後相手の安城のいいところが発揮されてきて苦しめられました」と振り返った。

 完投した川口に関しては、「結局、この秋の段階では川口に続く投手を作り切れなかったというところでありましたから、どんな状況でも川口には最後まで行くよということは言っていました。4回は失策絡みで失点しましたが、投球そのものとしては悪くはなかった」と、投げ切ったことも評価していた。

 あわやコールド負けか? というところから、大逆転があるのではないか、と思わせた安城だったが、結果的には、あと1点及ばなかった。

 加藤監督は、「こうやって、爪痕を残すことはできるんですけれども、結果を残すというところまではいっていないんですよね」と悔しがる。2週間前には、「原点回帰」という意識も含めて、加藤監督自身が師と仰いでいる麻王義之監督の至学館と練習試合に臨んで、新たな発見と意識革命があったという。5点を先行されながらも追いついていくということで、安城の諦めない野球も、再認識された。

 こうして、爪痕を残しながら、安城の野球は、「西三河のくせ者」としての存在感を示していっている。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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