大舞台でもぶれない心を!初舞台で躍進を狙う 大分
今年の選抜で初出場を決めた大分。近年では、2014年と2016年に夏の甲子園に出場しているが、初めてセンバツへ向けて、どんなチーム作りをしているのかを伺った。
大分中~大分高の選手たちが主力選手へ成長
バッティング練習をする江川侑人(大分)
今年の主力選手は昨夏大分大会初戦敗退の悔しさを味わっている。レギュラーだった江川侑人は悔しさのあまりなかなか切り替えることができなかった。それでも先輩たちの励ましもあり、新チームへ向けて動き出した。
今年に関しては松尾監督からの期待が高かった。なんといっても第44回日本選手権大会に出場した大分中野球部(大分明野リトルシニア)出身の選手が多く、江川、主将の足立駿、一塁・中尾拓士など多くの主力選手が大分明野シニア出身。中高一貫を敷く大分にとっては勝負の年だったのだ。
まず固めたのはディフェンス面。まず松尾監督は正捕手・江川の働きを高く評価した。
「真面目で、本当に野球が好きですし、いろいろな面で勉強できる選手ですから、中心となって活躍してくれたと思います」
小学校時代からバッテリーを組む長尾 凌我とのコンビネーションは絶妙だった。長尾はストレートの球速は120キロ後半と決して速くない。だが、制球力が優れているだけではなく、松尾監督は頭脳も優れていると語る。
「普通に受験すれば、大分県トップの進学校も合格できるほどの学力があり、自分の課題克服に向けて取り組むことができる投手です。
長尾は制球力が高いので、わざと3ボール0ストライクにして、そこから駆け引きで打ち取る場面もありました。長尾と江川のバッテリーは小学校からなので、意志疎通ができているかなと思います」
長尾は防御率1.99を記録し、九州大会4強入りの原動力へ成長。ディフェンス面では松尾監督が絶大な信頼を寄せるほどとなった。現在、センバツへ向けての課題は「打撃力アップ」となっている。
[page_break: 甲子園を意識してキビキビとした行動を]甲子園を意識してキビキビとした行動を
バットを振る中尾 拓士(大分)
また、打線はチーム打率.306を記録。そのまとめ役となっているのが中尾 拓士。一塁手として高校通算16本塁打を放っており、左の好打者としてチームを引っ張る中尾はチーム一の理論家であり、チームメイトを指導することも。
大分中からチームメイトだった三塁手の飯塚は「自分も参考になります」と大きな信頼を寄せる。この冬場では13メートル前後の距離から控え投手が全力投球をて、竹バットで打ち返す練習を行い、また江川など主力選手は松尾監督に呼ばれ、打撃フォームの指導を受けて、準備を行っている。
初戦の相手は松山聖陵。投手陣の層は厚く、チーム打率も打率.336と非常に高く、総合力が高い強敵である。
松尾監督は「大舞台でもぶれずに、自分のプレーを徹すること、プレーが雑にならないこと、チームが勝つための行動ができるか。そのためにはよく言われることですが、日々の生活が大事となります」と生活行動の重要性を説いた。
主力選手はその意識が芽生え、正捕手の江川は観察力を磨くために、日々の生活から人々が何を考えているのかを考えて行動した結果、インサイドワーク能力を向上させた。
貼られた言葉の数々
また、グラウンド外の施設には自己啓発のための言葉が多く貼られている。「プレッシャーは力の源」「エースの条件は打者を見下ろすこと」などプラスになる言葉が多くある。広瀬茂部長によると、そういう言葉を目にすることで自分に気づきを与えるようだ。主将の足立駿は「自分にはなかった考えが知ることができて、日々の生活行動が大事だと実感しますし、言葉が貼られているのは良いと思います」
練習中では甲子園に備えてキビキビと動くことを求めている。2016年夏、甲子園に出場した時、高野連の役員から厳しく求められていることを実感。少しでもだらっとした動きがあると、広瀬部長から厳しい指摘が飛ぶ。常に甲子園を意識して、行動をしてきた。
3月以降の練習試合は打ち勝つ試合も多く、打撃力アップを実感している。
主将の足立はいう。
「支えてくれる方のために恩返しとして勝っていきたい。目指すはもちろん日本一です」
センバツ初舞台は打撃、守備と持てる力を存分に発揮し、躍進を狙う。
(文・河嶋 宗一)