川越初雁vs川越工
好投手戦は9回に川越初雁が決勝点を1点をもぎ取り辛勝
エースで4番で主将の川越初雁・齋藤眞之丞君
埼玉県は大きく4つの地区ブロックに分かれている。その中でも、川越市や所沢市などの西部地区は、最も厳しい地区だと言われている。代表決定を競う戦いでも、こうした同市内対決も多く発生する。お互いある程度は手の内を知っているのだろうが、公式戦として当たることで、また違ったモチベーションとなっていく。
そんな試合だったが、好投手戦となった。最終的には、エースで4番、主将も務める川越初雁の齋藤眞之丞君がしっかり投げ切って9回に均衡を破って勝利を手繰り寄せた。
川越初雁の吉田健治監督は、「ワンマンチームではなく、彼の人間性も含めて敢えてこのチームを背負わせようと思った」ということで、主将にも任命したのだが、その役を十分に果たしている齋藤君は自分のことだけではなく常にチームとしてどうしていくのかということを考えられる存在になっているという。そして、そんな思いがこの試合でも繋がって、緊迫した投手戦を最後に得点して逃げ切った。
川越初雁は齋藤君が初回からほぼエンジンフル回転。川越工は、真家君が丁寧に投げていたが4回に川越初雁が4番の齋藤君の二塁打からバントで進めて、7番川名君のタイムリーで帰して先制。これに対して川越工は5回一死から伊藤燿一君と9番の代打福良君の連打に死球などでチャンスを作り、3番関口君が左前打して同点に追いついた。
川越工は6回から真家君に代って鈴木廉君がマウンドに立って、「えいっ!」と気合を込めた力強い投球で強気に投げ込んでいき、ここからさらに投手戦が続いていった。
そうして、1対1のまま、そのまま延長戦もあるかなという展開になってきた試合だったが、9回川越初雁は先頭の8番福島君が中前打で出ると、続く竹谷君はしっかりと送って一死二塁。四球後2番高﨑君が中前打して二塁走者を帰してこれが決勝点となる。吉田監督も、「確かに齋藤が目立つ存在なんだけれども、形としてチーム全員として戦って勝てたということが大きかった」と高﨑君の決勝打を喜んだ。
勝ちきれなかった川越工の熊澤光監督は、「相手の投手1人にやられてしまったという感じですね」と悔しがった。そして、「やはり、こういう戦いを競り勝っていかないと県大会には進めないということです。上に行けるときは、こういう試合を何とかモノに出来ています。そのあたりを夏へ向けてしっかりさせていかなくてはいけない」と、毎年ロースコアで競り勝てるチームを作り上げてきている指揮官としては、改めて夏へ向けてのチーム作りをイメージしていた。
なお、今大会では埼玉県高野連の取り組みとしては、特に平日の試合の場合審判員の不足は深刻が問題となっていたことの対策案を試みた。その補填としてブロック予選の場合、学校の指導者が審判員として塁審に入るというシステムだ。
前の試合では川越工の土屋政広部長、この試合でも市立川越の甲原史朗コーチが三塁塁審として入った。「2月に研修を受けて、初めての経験となりましたが、やはり緊張はしました。プレーを見る位置が違うということもあって視線が違って経験にもなりました。それと、外野の飛球の時の動きなども、どういう位置で見て行くのがいいのかということを経験しながらわかっていくこともありました」と、こうした経験をまた指導に生かしていかれればという思いでもある。
県高野連としては、当面は平日で審判員が手配できないときには要請していきたいという考えである。
(取材・記事:手束 仁)