Column

横浜期待の星・松本隆之介 順調な歩みを見せる大型左腕のストロングポイントは?

2019.09.17

 2016年から3年連続で高卒プロ入り選手を輩出している名門・横浜。今年もエース・及川雅貴が志望届けを出せば、4年連続でプロ入りに大きく期待がかかる。その及川に迫る大型左腕がいる。それが187センチの大型左腕・松本隆之介横浜)だ。ピッチングの安定感、引き出しの広さという点に関しては及川より上回るものがある。
 そんな松本の軌跡を振り返っていきたい。

順調に成長してきたドクターK

横浜期待の星・松本隆之介 順調な歩みを見せる大型左腕のストロングポイントは? | 高校野球ドットコム
松本隆之介(横浜)

■戸塚シニア時代からドクターKとして活躍

 松本は、これまで荒波翔(元横浜DeNA)をはじめとした横浜高校で活躍したOBを多数輩出した戸塚シニア出身。
 中学1年生の時、170センチだったが、中学3年で13センチも伸び、183センチまで伸び、130キロを超える左腕として神奈川県内から大きく注目された。中学3年春では神奈川の中学硬式球児の憧れであるベイスターズカップに出場。初戦の横浜南ボーイズ戦ではこの秋から横浜隼人のエース格へ成長した梅田健太郎と投げ合い、7回まで被安打2、12奪三振、無失点の快投。最速132キロのストレートと切れ味鋭いスライダーの精度の高さは、ネット裏に集まった高校野球の指導者から高く評価されていた。

■順調にステップアップを続ける

 そして当時から横浜高校へ強い憧れを持っていた松本は横浜高校に進学すると、1年春からベンチ入りし、公式戦にも登板。順調にステップアップし、2年春、選抜で甲子園デビュー。

 選抜甲子園後の高校日本代表候補の研修合宿に参加し、佐々木朗希大船渡)から体幹トレーニングを学び、最速147キロまでレベルアップ。この夏も3回戦の法政大戦で6回10奪三振、無失点の好投を見せたが、準々決勝の相模原戦で3失点と悔しいマウンドに。夏の大会の悔しさを晴らすために、夏休みの練習を経て、秋季県大会のマウンドに登った松本は安定感のある投手へ成長した。

[page_break:2020年度の高校生左腕をリードする存在へ]

2020年度の高校生左腕をリードする存在へ

横浜期待の星・松本隆之介 順調な歩みを見せる大型左腕のストロングポイントは? | 高校野球ドットコム
松本隆之介(横浜)

■別格の安定感を見せた神奈川工戦

 神奈川工戦でマウンドに登った松本は立ち上がりから常時138キロ〜140キロを連発。昨年から140キロを計測していたが、成長したのはコントロール。内外角へ置きに行くボールではなく、強く腕が振れたうえで、勢いのあるストレートを投げることができている。

 また、フォームからも打ちにくさを感じる。何が良いかいえば、フォームの強弱をつけるポイントを理解していること。コントロールを乱す投手は全体的に力みすぎてしまい、いわゆるしなやかさがない。松本の場合、テークバックを大きくとって大きく胸を張った後、リリースに入るが、リリースに入るまで無駄な力が入っていない。リリース時にしっかりと力を入れて、球速表示以上のストレートを投げ込み、空振りを奪うことができる。

 さらに120キロ前半のチェンジアップ、120キロ後半のスライダー、110キロ前後のカーブを織り交ぜ、神奈川工打線相手に11奪三振。走者を出してからの安定感も素晴らしく、この試合は3回表に二死満塁、また二死からエラーで走者を出す嫌な雰囲気になっても松本は慌てずに投げることができていた。
 これほどスケールがあって、メンタル的に優れた左腕はそうそういない。

■夏まで今の安定感に力強さを

 ピッチングの総合力という点では、今年の3年生の及川より上回る。スピードでは及川に劣るが、フォーム技術が優れて打ちにくさを感じるフォームになっているので、ストレートでも、変化球でも勝負できるので、余裕が感じられる。今のフォームの感覚を忘れず、徐々に力強さを増していて、平均球速を高めていけば、ドラフト上位候補に推される存在になるのではないだろうか。

 ここまでは順調なステップを歩んでいる松本。果たしてこの1年、2020年度の高校生左腕をリードする存在となるのか?

(記事=河嶋 宗一)

横浜期待の星・松本隆之介 順調な歩みを見せる大型左腕のストロングポイントは? | 高校野球ドットコム関連記事はこちらから
松本が抜群の安定感で完封 横浜と神奈川工の秋季大会4回戦をレポート!
松本 隆之介(横浜)の寸評をチェック!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.28

春の福岡地区を制した沖学園(福岡)、勝利のカギは異例の「決勝直前沖縄合宿」だった

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】錦江湾が1点差勝利!出水工の追い上げ、あと1点及ばず

2024.05.28

【大分】佐伯鶴城は4戦3勝、杵築は4戦で1勝<強化試合>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】川内商工が2試合連続逆転サヨナラ勝ち!雨のため2試合が継続試合

2024.05.28

【北海道】北海が逆転勝利、27連勝で4季連続V達成<春季全道大会>

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.26

【春季関東大会】常総学院・中村虎汰郎が二刀流の活躍で決勝進出に貢献!9回にはサヨナラに繋がるヒット!投手としてはセンバツ後に再転向で連日の好リリーフ!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商