都立日野vs都立紅葉川
両エースが持ち味を発揮!
小林龍太(都立日野)
勝てばシード獲得の3回戦。都立日野vs都立紅葉川の一戦が開催された。奇しくも昨年も3回戦で、同じ八王子球場で開催されている。前回の対決では、都立日野が制しているが、この試合は1点を争う好勝負となった。
好勝負となったのは両エースの好投に尽きる。都立紅葉川のエース・吉本優太(3年)は右の好投手。176センチ72キロと中背の投手だが、投球フォームが良い。内回りのテークバックでしっかりとトップを作り、滑らかな体重移動でフィニッシュができているので、腕の振りが実にスムーズ。ライナー性で投げられるほどの距離で遠投を繰り返し、ストレートのキレを磨いてきた吉本は、常時120キロ後半~132キロを計測。高めへしっかりと伸びるストレートもあり、115キロ前後のスライダーも良く決まり、田河清司監督も「今までの試合の中では一番良かったですね。前回の試合の反省をしっかりと生かしてくれていると思います」と指揮官も好投する投球を見せる。
一方、都立日野のエース・小林龍太(3年)も負けじと好投。158センチ53キロと、体は小さい。しかし、度胸は非常に強い。「体は小さくても、誰にも負けたくない思いで投げています」と語るように、ピンチ時での投球は実に冴えている。1回裏から一死満塁のピンチを併殺で抑えてから勢いに乗った小林は持ち味である粘っこいピッチングを見せる。小林は、球速は125キロ前後だが、低めへの制球力が非常に高い。
それは投球フォームの良さにあり、軸足にしっかりと体重を乗せることができて、プレートにしっかりと押さえつけて蹴り上げができて、さらに球もちの良さが抜群。ボールが高めに上ずることなく、低めにしっかりと投げることができる。さらにスライダー、カーブ、チェンジアップを低めに集めるので、想像以上に打ちにくい投手なのである。
吉本優太(都立紅葉川)
こうして、両投手が持ち味を発揮し、0行進で動いていた試合は、5回表に均衡が破れる。都立日野がワイルドピッチで1点を先制。さらに8回表には、2番普入渉吾(2年)の二塁打からチャンスを作り、一死三塁から4番須山倫(3年)の犠飛で1点を追加して2対0とした。小林は8回裏、一死満塁のピンチを迎えながらも、併殺で切り抜け、大きくガッツポーズ。
9回裏も安定した投球を続け、完封勝利。シード権を確保した。試合後、嶋田監督は、「小林が前回あまり良くなかったのですが、そこからしっかりと修正をしてくれましたし、また守備でも無失策。打ち勝つイメージが強いのがうちですが、こうして守り勝つ野球を見せることができて良かったと思います」とコメント。
小林も「今日はバックがしっかりと守ってくれたので0点に抑えることができましたし、安心して投げることができました」と守備陣に感謝していた。
敗れた都立紅葉川だが、率いる田河監督はエース・吉本が好投を見せたことを評価。
吉本だけではなく、2回戦の堀越戦で本塁打を打つなど打撃好調の4番西久保哲也(3年)が活躍を見せるなど、収穫が残った大会となった。4番西久保は登録上、178センチ75キロとなっているが、今では80キロまで増量しているという。しっかりとトップを深くとって、腰を鋭く回転させてバットスイングができる選手で、この冬で鍛えたパワーをしっかりと生かした打撃ができている。この春になってから練習試合・公式戦を通じて4本塁打を放っており、西久保自身、手ごたえを感じている。
実力校と目される都立校同士の一戦は、夏へつながる価値の大きいゲームとなった。
(取材・写真=河嶋宗一)
注目記事
・2017年度 春季高校野球大会特集