試合レポート

れいめいvs鹿児島城西

2015.03.31

「野球できない気持ち」ぶつける!・れいめい

2ラン本塁打を放った火ノ浦明正主将(れいめい)

 れいめいがシード鹿児島城西との打ち合いを制し、久々の4強入りを勝ち取った。

 初回にれいめいが4番・堂免大輔(2年)、7番・福山将真(2年)の二塁打で4点を先取して主導権を握ったかと思いきや、鹿児島城西は3回、8番・新垣洸二(3年)からの3連打で瞬く間に同点に追いつく。

 4回表に鹿児島城西が7番・植囿勇亮(3年)のタイムリーで勝ち越せば、その裏、れいめいはスクイズと、1番・火ノ浦明正主将(3年)の2ランで再び試合をひっくり返す。

 6回、鹿児島城西は捕逸と代打・安仁屋輝一(3年)の2点タイムリーで再逆転したが、7回裏、れいめいは4番・堂免の内野ゴロで同点に追いつき、5番・杉安浩(3年)のライトオーバー二塁打で2点を勝ち越した。
自らのバットで勝ち越し打を放った杉安が8、9回は三者凡退に打ち取って2時間33分の死闘に決着をつけた。

 内容的には課題の残った一戦だったが、久々となる4強入りを勝ち取って、湯田太監督は「正直、ホッとしました」と安どの表情を浮かべた。
記録を調べれば、れいめいの4強は2006年夏以来9年ぶり、九州大会予選に限れば、99年春以来だから実に16年ぶりとなる。北薩の雄として毎年、優勝候補の一角に挙がっていながら、8強で涙をのみ続けていただけに、ようやく壁を破れた喜びをナインはかみ締めていた。

「悔しかった思い出しか残っていない」と火ノ浦主将。昨春は同じ準々決勝(試合レポート)で鹿児島玉龍を相手に9回まで3点差で勝っていながら同点に追いつかれ、延長戦で敗れた。シード校で臨んだ昨秋は4回戦で同地区の出水中央に逆転負け。1年夏から5番、2年夏は3番と中軸打者として試合に出ていた火ノ浦としては忸怩たるものがあった。

 加えて、火ノ浦は昨秋から故障を抱えていた右ひじを1月に手術して、3カ月間まともに練習ができていなかった。小学1年でソフトボールを始めて以来、「こんなにも野球ができなくて悔しい想いをしたことがなかった」という。
ようやく動けるようになったのは大会直前であり、大会前の練習試合も1試合2打席しか立っていない。それでも今大会ここまで3発のアーチを放ち、この日も初回のリードを追い付かれて漂っていた停滞ムードを吹き飛ばす一撃をバックスクリーンに弾丸ライナーで叩き込んだ。

「良いボールがくると思って、甘いコースに来たボールを思い切って振り切ったけど、まさか入るとは」と驚きの一打を振り返る。
野球への「飢え」が、流れを引き戻すアーチを生み、チームが越えられなかった壁を破る原動力になった。

(文=政 純一郎

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.06.05

夏の千葉大会は7月6日開幕!今年は148チームが参加し、7月27日に決勝予定!

2024.06.05

【東北】初戦から青森山田と聖光学院が激突!<地区大会組み合わせ>

2024.06.06

大阪桐蔭&履正社撃破の原動力! 超高校級遊撃手・今坂 幸暉(大阪学院大高)のドラフト指名はあるのか!?<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉