試合レポート

大阪桐蔭vs広陵

2021.11.26

大阪桐蔭vs広陵 | 高校野球ドットコムこの試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています

「しぶとさ」光った大阪桐蔭、公式戦15連勝140得点は新たな伝説のスタート

大阪桐蔭vs広陵 | 高校野球ドットコム
歓喜の瞬間

 明治神宮大会・高校の部決勝は近畿代表地区の大阪桐蔭(大阪)と、中国地区代表の広島広陵(広島)の対決だった。今年夏の甲子園で4強すべて近畿勢と、近年は全国でもトップレベルを誇る近畿で圧倒的な力の差を見せつけて優勝した大阪桐蔭

 広島では準決勝で広島商に敗れ、なんとか3位で出場した中国大会で投手力を中心に勝ち上がり、決勝では県大会決勝で敗れた広島商にリベンジを果たして、明治神宮大会に出場してきた広島広陵。勝ち上がり方が対照的な2チームの決勝となったが、そのチームカラーを象徴するような戦いとなった。

 「王者」が最初に牙をむいた。3回だ。一死一、三塁の好機で4番丸山一喜内野手(2年)が右前2点適時打を放つなど4点を先制した。4回には3番松尾汐恩捕手(2年)の左翼席への3ランも飛び出した。5回表にも1点を追加して、この時点で8対0と圧勝ムード。大阪桐蔭の強さばかりが神宮で目立っていた。

 しかし5回裏から、がらりと空気が変わる。広島広陵が内野安打2本を含む単打での4連打を含め6本の安打を浴びせて一気に5点を奪って見せた。8点あったビハインドを打者一巡の猛攻で一気に3点差まで詰め寄った。ここまで粘り強く、這い上がってきたチームらしく、諦めない姿勢に神宮のファンも広島広陵の反撃に歓声を挙げていた。

 大阪桐蔭はそれでも慌てず、自分たちの野球を貫いた。6回は相手のミス、7回は松尾のこの日2本目のアーチ、9回は連続四球からのタイムリーで得点を重ねるなど、貪欲に得点を積み上げた。11対7。広島広陵の素晴らしい粘りも、大阪桐蔭がねじ伏せ、優勝を収めた。

 大阪桐蔭は明治神宮大会初優勝だった。2度の春夏連覇を経験する強豪が、初めてこのタイトルを獲得し、史上8校目の「四大大会制覇」を成し遂げた。西谷浩一監督は「OBが頑張ってもとれないタイトルでしたが、しっかり乗り越えてくれたことはうれしく思います」とナインを称えた。

 今年のテーマは「しぶとい野球」だという。タレントそろいではないと言いながら、結果は圧倒的な力を見せつけて勝ち上がってきた。それでも「しぶとさ」は忘れない。その姿勢が広島広陵に詰め寄られても、コツコツと着実に突き放す試合運びを見せたあたり、まさに「しぶとい野球」を実践した証拠だろう。

 危ない試合がなかったというイメージだが、淡泊さがないチームだからこそ、謙虚にチームの総力を結集して得点を重ねたともいえる。

 今秋の大阪府大会初戦から、近畿大会、明治神宮大会と続けてきた連勝を15に伸ばした。1点差勝利は1試合、2点差勝利も1試合とほとんど快勝。この2試合は大阪府大会だったので、近畿、明治神宮では接戦すらなかった。

 「しぶとさ」をテーマに積み重ねてきた得点も140得点を数えた。かつて、松坂大輔投手(元西武)を擁し1997年秋から1998年夏まで、公式戦44連勝を収めた横浜(神奈川)も、秋の神奈川大会初戦から15連勝で明治神宮大会を制した。大阪桐蔭はこの記録を狙えるスタートに立った。

 敗れながらも広島広陵はすべてを出し切った。エースの森山陽一朗投手(2年)をはじめ3投手をつぎ込んだ。失点されたが、粘り強く投げていた。広島3位でスタートしながら、ナインは戦いながら勝つことで自信をつけ、失敗しながらも成長してきた。

 3番内海優太外野手(2年)、4番真鍋慧内野手(1年)の左打者は全国レベルのスラッガーであることを証明した。一冬越えたナインたちがたくましくなって、来年春のセンバツで活躍する姿が見たい。

(記事=浦田 由紀夫


大阪桐蔭vs広陵 | 高校野球ドットコム
先制打に雄叫びを挙げる4番・丸山(大阪桐蔭)

大阪桐蔭vs広陵 | 高校野球ドットコム
前田から安打を放つ真鍋

大阪桐蔭vs広陵 | 高校野球ドットコム
本日2本目の本塁打を放つ3番・松尾(大阪桐蔭)

大阪桐蔭vs広陵 | 高校野球ドットコム詳細は後ほど!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.28

【鹿児島】鹿児島玉龍と樟南が8強へ<NHK旗>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】川内商工が2試合連続逆転サヨナラ勝ち!雨のため2試合が継続試合

2024.05.28

【大分】佐伯鶴城は4戦3勝、杵築は4戦で1勝<強化試合>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】錦江湾が1点差勝利!出水工の追い上げ、あと1点及ばず

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商