試合レポート

都立大山・都立六郷工科vs都立羽村

2016.03.22

ここぞで魅せたベストピッチ!壁を越えたエース・五十嵐の活躍で都立大山・都立六郷工科合同チームが本大会出場を決める!

都立大山・都立六郷工科vs都立羽村 | 高校野球ドットコム

先発・五十嵐(都立六郷工科)

 3月22日、一次予選で唯一代表が決まっていなかった第7ブロックの代表決定戦が[stadium]修徳高校八潮野球場[/stadium]で行われた。
第1試合は、都立大山・都立六郷工科の合同チームと都立羽村の対戦。

 都立大山・都立六郷工科は五十嵐、都立羽村は栗山の両先発で始まった試合は初回から動く。
1回表、都立羽村は1番・田中が四球を選び出塁すると、2番・篠田もエラーで出塁。さらに盗塁を試みた田中に対し、三塁への送球が逸れる間に2人が還り、都立羽村が2点を先制する。
このままバタバタとしたまま失点を重ねてしまうのかと思われるところだったが、都立大山・都立六郷工科はその後ミスも出したもののこの2失点のみで初回を切り抜ける。伊藤諒監督(都立六郷工科)はこう振り返る。
「合同チームなので細かいところなど難しい部分はあります。ただ、エラーで失点したことも選手達にはマイナスにはならなかった。逆に余裕が出てきたのかなと思います。」

 その裏、都立大山・都立六郷工科は先頭の井上が二塁打で出塁すると、送りバントで三塁まで進め、3番・松尾の内野ゴロの間に1点を返す。
続く2回、五十嵐が三者凡退に抑えたその裏にはヒットで出塁の5番・石川を三塁に置き7番・中村がタイムリーを放ちまず同点。さらに2つの四球でランナーを溜めると、1番・井上、2番・五十嵐の連続タイムリーが飛び出し3対2と勝ち越しに成功する。

 逆転されたままでいるわけにはいかない都立羽村は代わった重黒田が毎回のように四球を出す苦しい投球ながらも1失点に抑え、じっと反撃を待つ。


都立大山・都立六郷工科vs都立羽村 | 高校野球ドットコム

2番手・重黒木(都立羽村)

 しかし、この日の都立大山・都立六郷工科の先発・五十嵐が都立羽村の前に立ちはだかる。5回に1番・田中にタイムリーを打たれた以外は、ピンチらしいピンチも作らない見事な投球。伊藤監督も「ベストピッチだ」と太鼓判を押す活躍で得点を許さず、5対3での勝利に大きく貢献した。

 その五十嵐に話を聞くと「自分(の四球)から始まってしまったので、ピッチングで返そうと気持ちを入れました。」と切り出した。気持ちを込めた投球で、その後はほぼ完ぺきな内容。これには自分も驚いていたようだった。
「これまでは6回につかまってしまうことが多くて、今日みたいに最後まで投げられたのはほぼ初めてだと思います。最近になって気持ちを切り替えることができるようになったので、それも良かったのかも」と笑顔を見せた。
5回に失点を許した後、しかも今まで鬼門の6回を三者凡退に打ち取ると、7、8、9回も完璧な投球で都立羽村打線を抑え込んだ。壁を一つ越えたといっていいだろう。

 いい意味での開き直りかたを覚えたエースとチームは、今年の春季都大会の中では唯一の合同チームとして出場する。この都立大山・都立六郷工科は合同チームとは思えないほどの中の良さと明るさだが、聞けば、これまでも一緒に合宿を行ったりと交流は深かったよう。納得の結束力だ。
「ひとつでも多く勝てるように、まずは初戦」と監督と選手は口を揃える。その都大会初戦は4月1日、[stadium]立川市立川公園野球場[/stadium]で都立成瀬と対戦する。

(取材・写真=青木 有実子

都立大山・都立六郷工科vs都立羽村 | 高校野球ドットコム
注目記事
2016年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.05.23

春季関東大会でデビューしたスーパー1年生一覧!名将絶賛の専大松戸の強打者、侍ジャパンU-15代表右腕など14人がベンチ入り!

2024.05.22

【宮城】仙台育英は逆転勝ち、聖和学園が接戦を制して4強入り<春季県大会>

2024.05.22

【北信越】帝京長岡の右腕・茨木に注目!優勝候補は星稜、23日に抽選会

2024.05.22

【秋田】明桜と横手清陵がコールド勝ちで4強入り<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.04.23

床反力を理解しよう【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?