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2019年はリベンジへ。アジア大会で出た課題を検証 「ルールへの対応」

2018.09.12

 日本開催のアジア大会で優勝を逃す事態となった。チャイニーズタイペイ戦に敗れてから、日本代表の在り方が盛んに議論された。2019年のワールドカップの出場権は何とか手にしたものの、現状のままでは来年の世界大会では3位がやっとかもしくは5位~6位で終わってしまうかもしれない。今回、問題になった課題をシリーズもので検証をしていく。まずはルールへの対応だ。

うまくいかなかったゾーンへの対応

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藤原恭大(大阪桐蔭)

 日本は貧打に苦しんだ。チャイニーズタイペイ韓国戦の合計スコアは2得点。去年のカナダでのワールドカップと比べて、とにかく貧打に苦しんだ。その原因として、永田監督は「ゾーンに対応できなかった」と挙げる。日本と国際大会ではどれくらいゾーンが違うのか。永田監督は「ボール1個~2個分は広いですね。今までやってきたゾーンとは違うので、どうしても当てに行く傾向が強い。韓国戦チャイニーズタイペイ戦ではそれが出てしまった」

 はっきり言ってボール1個~2個の違いはかなりの違いである。野球の質が変わる。

 高校代表の優秀な選手が集まったとはいえ、そう簡単に対応できるものではない。

 韓国戦では1得点に終わり、台湾戦は2安打のみに終わった。

 この2試合を振り返ると、ゴロやポップフライが多かったが、東京合宿では鋭いライナー性で伸びていく打球も多かった。永田監督は「振ってタイミングをとる」というように、強く振ることを推奨しており、合わせようとして、当てることは絶対にやるなと選手にも伝えていた。10日の中国戦を振り返ると、藤原恭大大阪桐蔭)は点差がついた場面で、フルスイングを行ったが、あれも永田監督の指示である。

 「藤原にはホームランを狙え、MRTにぶちこめ!ともいっていましたね」

 MRTというのは[stadium]サンマリンスタジアム[/stadium]にあるMRT放送の広告のことだ。その上を行くような打球を放ってほしい思いがあった。

 ただ外に広すぎるゾーンが日本の打者のメカニズムを狂わせたと考えられる。その対応策として蛭間拓哉浦和学院)は「やはり外角へ打てるように踏み込んで打って強く振ることです。でも、なかなか打てずに苦しみました。最後の中国戦で良い打球を打てたかなと思います」と踏み込んで打っていった。

 中国戦で14得点を挙げ、対応に成功したものの、時すでに遅し感が強かった。

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国際ルールへの対応はプロ・アマ統一

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日本代表はストライクゾーンやボークなどの判定に苦しんだ

 指導者・選手が国際大会の対応で苦労したのが、ボークだという。その解決策としては、日本の高校野球も国際大会にルールに合わせるべきだということが言える。高校野球は注釈付きのルールが多いのが現状だ。ボーク、二段モーション…。特にボークはその見極めに苦しむならば、最初から統一したほうがやりやすい。日本が国際大会で上位に立ちたいという思いがあるのならば、早急に検討するべきだ。

 またストライクゾーンについては、プロ・アマチュアも国際大会に統一してやるべきだといえる。一定のカテゴリーのみだけ国際大会に合わせるのは危険だ。というのも、高校は広い、大学、プロは狭い。それぞれのカテゴリーでストライクゾーンがまるっきり違う。今回の代表選手の打撃を見ればわかるように、ストライクゾーンに対応できず、打撃フォームを崩した。

 それでも対応できる選手は優秀なのだが。個人の素質と対応力に頼った結果が今回の結果を招いているので、できるだけ近づけた方が良い。

 またボークとなる基準も日本とは違う。日本ではボークになるものが、ボークではない。それで走れず、機動力自慢の選手をそろえたつもりだが、機能しなかった。

 日本代表は勝利のために足が速い選手をそろえるのが伝統的だが、ルールによって機能しなければ何のために選出しているのか。自分の持ち味を発揮するためにルールを把握するのは必須だ。それに応じて自国のルールも変更して、順応をしていくというのが大事だが、日本の場合、その前提ができていなかった。

 自身のルールに縛られ、国際大会のルール、ストライクゾーンの対応を合宿に合流して一から始める。年々、レベルが高まる韓国代表とチャイニーズタイペイ代表。今大会の負けは必然だった。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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