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平成30年度(第71回)秋季四国地区高等学校野球大会展望 「2019年センバツ」懸け、激戦の幕開け

2018.10.27

シードの帝京第五・川島に肉薄するノーシード4校

平成30年度(第71回)秋季四国地区高等学校野球大会展望 「2019年センバツ」懸け、激戦の幕開け | 高校野球ドットコム
秋季愛媛県大会初の優勝を果たした帝京第五

 

 10月27日(土)に香川県高松市の[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]と香川県丸亀市の[stadium]ボールパークレクザム丸亀市[/stadium]で開幕する「平成30年度(第71回)秋季四国地区高等学校野球大会」。今回も例年通り香川・愛媛・徳島・高知4県の大会上位校3校ずつ、計12校が集い、決勝進出で確実視されるセンバツ出場と、昨年は明徳義塾が頂点に立った明治神宮大会出場権を懸けて、27日(土)に1回戦4試合、28日(日)に準々決勝4試合。[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]に会場を一本化しての準決勝2試合は11月3日(土・祝)、決勝戦は10時から[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]にて、計11試合が行われる。

 はたして、頂点に立つのは高知県3位から3連覇を目指す明徳義塾か?高知商徳島商高松商の「四国4商勢」か?それとも帝京第五をはじめ初優勝を目指す5校に、虎視眈々と戦略を整える高知がいる逆ブロックなのか?激戦必至の大会を、今回は出場校全監督のコメントから占っていこう。

 

 まずは愛媛県大会初優勝の帝京第五(2年ぶり7度目の出場)に高知県2位・高知(2年連続33度目の出場)と徳島県3位の富岡西(11年ぶり5度目の出場)の勝者、これも徳島県大会初優勝の川島(4年ぶり4度目の出場)に香川県2位の志度(4年ぶり8度目の出場)と愛媛県3位の松山聖陵(2年連続5度目の出場)が挑む形の1回戦・準々決勝[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]ブロックから見ていこう。

 

 まずは8月2日に森木 大智(3年)の最速150キロ到達を見届けた翌日から高知中監督から転じた高知・濵口 佳久監督。「ウチは12番目のチームだと思っている」と殊勝なコメントの一方で「四国大会では毎回やってきたことをバージョンアップしないといけない」と秋季高知県大会準決勝で明徳義塾に競り勝った原動力となった選手個々の技術力を土台にしての戦術駆使継続をにおわせています。「失点をできるだけ抑えて、ロースコアで勝ちたいです」と小川 浩監督が語る富岡西との開幕戦は興味深い一戦になるでしょう。

 

 その2校を待ち受ける形の帝京第五。小林 昭則監督は「戦い方は変えずにあとは相手のDVDを見て対策を練りたい」と、2年前に準優勝を飾り、この県大会でも今治西など強豪撃破の基盤となった「戦術徹底」を明言しています。となれば準々決勝もまた、ベンチワークも含めた一瞬が勝負を分けることは確実である。

 

 志度は「もろい部分もあるが、いやらしいボールを投げる」(新鞍 幸一監督)右サイド・開 貴斗(2年・171センチ62キロ・右投右打・高松市立牟礼中出身)の出来が生命線。「守備と走塁のカバーリングを含めた部分を準備して、粘り強くやっていきたい」(荷川取 秀明監督)松山聖陵の攻撃を序盤にしのげれば、勝利の確率はグンと上がってくる。

 

 この両校は勝てば川島と対戦。「実は徳島県大会も全試合先行逃げ切りで勝ってきた」(山根 浩明監督)必勝パターンをいかに崩せるかが焦点になりそうだ。

[page_break「四国3商」に昨秋全国覇者、センバツ経験者に初陣の6校横一線]

「四国3商」に昨秋全国覇者、センバツ経験者に初陣の6校横一線

平成30年度(第71回)秋季四国地区高等学校野球大会展望 「2019年センバツ」懸け、激戦の幕開け | 高校野球ドットコム
今大会最速トップ143キロ右腕の英明・黒河 竜司(2年)

 

 対する1回戦・準々決勝[stadium]レクザムボールパーク丸亀[/stadium]ブロックには多士済々の6校がそろった。香川県大会2年ぶり27回ま優勝の高松商(4年連続36度目の出場)には愛媛県2位・初出場の聖カタリナ学園と、高知県3位から大会3連覇と明治神宮大会連覇にチャレンジする明徳義塾(6年連続29度目の出場)の勝者が対戦。また、高知県大会13年ぶり26度目の優勝を飾った高知商(3年ぶり42度目の出場)には徳島県2位の徳島商(6年ぶり30度目の出場)と香川県3位の英明(7年連続7度目の出場)の勝者が挑むことになった。「最悪です」。高松商・長尾 健司監督が半分冗談、半分本気でつぶやくのもうなずける。

 

 とはいえ、この中では香川 卓摩(2年・165センチ62キロ・左投左打・東かがわリトルシニア出身)、中塚 公晴(2年・172センチ71キロ・右投右打・高松市立桜町中出身)の最速140キロ両輪がいる高松商が頭半分抜けていることも事実。指揮官が「いろいろと考えている」継投策が県大会準決勝・英明戦のように決まれば、3年前に起こした旋風再来も十分に考えられる。

 

 その挑戦権を決める聖カタリナ学園と明徳義塾は旧チーム時代も含め練習試合で何度も対戦している勝手知ったる同士。高知県大会から2週間を経て「何とか戦える布陣になった。意地を見せないといけない」と意気込む明徳義塾・馬淵 史郎監督に対し、「ミスをなくした上で、ワンチャンスをどれだけ広げられるか」と勝機を探る聖カタリナ学園・越智 良平監督がいかに食い下がれるかが見どころになりそうだ。

 

 「厳しい組み合わせになりました」。長尾監督同様に眉をひそめるのは高知商・上田 修身監督。ただ、彼らも甲子園2勝をあげた経験値がある。「高知県大会では決まらなかったし、四国大会ではそこが命取りになるので詰めていきたい」小技の修正が図られれば、春は1994年以来遠ざかる夏春連続甲子園出場も視野に入ってくる。

 

 これを阻止せとする徳島商英明も実力者である。「フライ処理の優先順位など簡単なことを徹底して、イージーミスを防ぎたい」(森影 浩章監督)徳島商はリードオフマンの西村 奨真(2年・三塁手・170センチ64キロ・右投左打・阿波市立市場中出身)、高校通算22本塁打・最速140キロの4番・村田 龍哉(2年・178センチ83キロ・右投右打・徳島松南ヤング出身)らが県大会準々決勝で鳴門撃破の原動力に。

 

 また、「開き直っていきたい」(香川 智彦監督)から2年連続センバツを目指す英明も、ようやく右足首の骨折が癒え、県大会3位決定戦では連投も果たした最速143キロ右腕・黒河 竜司(2年・投手・180センチ85キロ・右投右打・高松市立屋島中出身)をはじめ、攻撃的2番・前田 大(遊撃手・173センチ58キロ・右投右打・丸亀市立西中出身)をはじめとする1年生との調和も取れてきた。

 

 初戦で当たらせるにはあまりにみお勿体ない好カードであるが、これもまた組み合わせの妙。この戦い含め、全11試合が明日の四国野球につながることを私たちは心から祈りつつ、試合を楽しみたい。

(文=寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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