試合レポート

東海大高輪台vs明大明治

2015.09.21

東海大高輪台、苦戦を強いられるもエース飯塚の好投で本大会出場!

柳澤憲人(明大明治)

 東海大高輪台明大明治とともに本大会でも上位に顔を出す同士の対決は接戦となった。

 東海大高輪台は1回から走者を出し、2回裏、東海大高輪台は二死一、三塁から9番飯塚の左前適時打で1点を先制。さらに1番島崎の左前適時打で2対0とする。4回裏には宮路の犠飛で3対0。試合を優位的に進めたかように見えた。だが明大明治の先発・柳澤憲人(1年)の投球に苦しんだ。柳澤の良さはストレートとスライダーのコンビネーション。そしてストレートはそれほどスピードがある投手ではないが、手元で勢いのあるキレのある球質であること。東海大高輪台打線がことごとくストレートに差し込まれていた。

 どちらかというとスライダーの方が打ちやすいのでそれに狙い球を絞っていたが、3安打を放った飯塚の様に狙い球を絞って打ち返すことができていた選手もいるが、ボールゾーンの変化球を振って、外ギリギリのストレートに打ち取られる選手が多かった。これは明大明治バッテリーがうまかったといえるだろう。1年生の秋の段階で、これほどの投球ができるのは、素晴らしい。

 東海大高輪台の宮嶌監督も「柳澤君は良い投手でした。ボールの質がとてもよく、球速以上に勢いを感じます。うちの打者が思ったより来ていますといっていたので、このストレートに手こずりましたね」と相手監督も認めるほどのボールの勢いがあった。

 東海大高輪台相手にこれほどの投球ができたのは大きく自信になったことだろう。


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

1失点完投の飯塚啓貴(東海大高輪台)

 それ以上に東海大高輪台の先発・飯塚啓貴(2年)も素晴らしい投球。特に外角へのコントロール、変化球のキレ味が優れた投手であった。

「今日は自分の持ち味を出せたと思います」と語るように、ベース手前で曲がるスライダーに明大明治の各打者がてこずっていた。そしてキレのあるストレートが外角ギリギリに決まるので、まともに打ち崩すことができない。
「今日は外角ストレートとスライダーのコンビネーションでいけると思っていたので、組み立てとしては簡単なものでした」と振り返るように、キレのあるストレートを2球続けて追い込んだ後、スライダーを投げて内野ゴロを打たせて取る姿はまさに手玉を取る投球ともいっていい。

 終始、安定した投球を見せ、1失点完投勝利を挙げ、本大会出場を決めた。秋の段階で、これほどまとまりがあり、変化球の精度がある投手はかなり打ち崩しにくい。本大会でも十分に活躍が期待できる投手であることは間違いない。宮嶌監督も、本人も、あと5キロほど球速を増やしたいと語っており、今は最速130キロほどだが、コンスタントに130キロ台・最速135キロ以上を計測するようになって、コントロール重視の投球ができるようになればさらに打ち難い投手になるだろう。

 また東海大高輪台は3得点のみで終わったが、打線はかなりの力がある。夏から出場している打者が多く、打者に応じて柔軟なリードができて、安定したスローイングを見せ、対応力が広い打撃を見せる正捕手・嶋崎草太郎(2年)、2番とは思えない豪快なスイングを見せ、広角へ打ち分ける意識ができれば、大化けしそうな宮路悠良(1年)、同じくどっしりとした構えから、強烈な打球を飛ばした左投げ左打ちの強打者・青木海斗(1年)もしっかりとボールを合わせることができるようになったときが怖い打者である。

 東海大高輪台はしばらく試験だったようで、集中した練習ができなかった。本大会へ向けて、「試験が明けたので、とにかく打って打って感覚を養わせたいと思います」と練習量の増加を掲げた宮嶌監督。

 今日の東海大高輪台は、まだ100の力を出したとはいえないだろう。さらに調子を上げて、結果も伴ったとき、東京都屈指の打撃型チームになる可能性は秘めている。

(文=河嶋 宗一


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.26

【福島】聖光学院が4連覇を達成<春季県大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉