試合レポート

清教学園vs上宮

2011.07.27

打撃力対決 勝敗を分けた4失点

 清教学園対古豪上宮の対戦。清教学園は2,3回戦を5回コールド勝ちと強力打線で勝ち進んできており、波に乗っている。対する上宮も打線は好調。2,3回戦ともに14安打と打撃戦を制し勝ち上がってきた。この強力打線に、清教学園のエース左腕多田と、2,3回戦を粘り強く完投した上宮のエース神山がどのようなピッチングを見せるかが焦点となった。

 1回表清教学園は神山の立ち上がりを捕らえる。1番伊東拓が初球叩きつけセカンドへの内野安打。神山の牽制球が悪送球となり労せず2塁へ。ここで2番金田壮弘がピッチャーに取らせる絶妙のバント、これをまたも神山が1塁へ悪送球。すかさず2塁への盗塁を決め、無死2,3塁とする。3番の大西拓は三振に倒れるも、4番合田が死球で1死満塁と1回から大チャンスを迎える。ここで2,3回戦で5打数4安打と打撃好調の5番小森庸平を迎える。2球目を引っ張り込むとサードへの痛烈なゴロ。これをサード1年生の岡澤俊幸が止めきる事が出来ず、サード強襲ヒットとなり先制点を挙げる。続く6番小谷竜太郎も3塁線を痛烈に破り、2点タイムリーツーベース。7番赤坂昂哉もセーフティスクイズを決める。清教学園が持ち前の機動力をいかした攻めで、1回に4点を先制する。

 清教学園先発は多田。強力打線の陰に隠れてはいるが、多田も2,3回戦と無失点。1安打しか打たれていない。ゆったりとしたフォームからストレート、変化球を投げ込み打たせて取るタイプの投手である。1回裏上宮は2死から神山が四球、4番植木大輔がライト前にヒットを放ち、2死1,2塁と反撃のチャンスを迎えるが、5番山本恭朗が変化球にタイミングが合わず三振に打ち取られ無得点。

 その後上宮神山はストレート中心のピッチングで、ランナーは出すものの6回までを初回の4点のみで抑える。対する清教学園多田も、制球を多少乱すこともありランナーを出すも、いずれも2死からのランナーで、後続をしっかり抑え込み、5回までを無失点で切り抜ける。


 6回裏上宮に最大のチャンス。先頭の神山がライトへのクリーンヒット、この試合初めて先頭打者が出塁した。この試合多田はここまでランナーを出した後リズムを乱すことが何度かあり、上宮としてはじっくり攻めたいところ。続く4番植木が送りバントをきっちり決める。その後、5番山本、6番上田に連続ヒットが飛び出し、1点を返しなお1死1,3塁と攻めたてる。ここで一度間を取り、落ち着いたか多田が踏ん張る。代打西口優を浅いライトフライに、8番岡澤もセカンドゴロに打ち取り、この試合最大のピンチを最小失点に抑える。
7回表に清教学園は9番多田のヒットから送りバント、3番大西岳のタイムリーで待望の追加点を挙げる。
多田は7回裏にも先頭打者を四球で出塁させてしまう。しかしここは1番浅野慎の打球をセカンド伊東が上手く処理しダブルプレー。後続も抑え無失点。

 9回表にも清教学園はヒットと送りバント、相手の悪送球やスクイズなどでダメ押しの2点を奪う。
最後は多田を8回からリリーフした2年生北林が無死から連続ヒットを打たれピンチを迎えるも、後続を抑え7-1で清教学園が5回戦へ進出した。

 清教学園は、多田の好投も大きかったが、盗塁やバントが全て得点に絡んでおり、持ち前の機動力を発揮し得点を重ねていった。初回の4点が大きく、その後ものびのび攻撃し、点の取り方が非常に上手かった。
 上宮は初回の4失点が全て。完全に浮き足立っていまいしらないうちに点が入っていたのではなかろうか。セーフティスクイズに関してもノーマークのようだった。その後神山も立ち直りいいピッチングを見せていただけに悔やみきれない失点となってしまった。後半意地を見せるも、初回の4失点が大きく細かな野球が出来なかった。捕手の上田、サードの岡澤はまだ1年生。この悔しさを忘れず、古豪復活を見せてもらいたい。

(文=編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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