日大豊山vs明大中野
雲田 海(日大豊山)
日大豊山が初戦突破
春季東京本大会が4月1日から開幕した。今年は一次予選が中止となり、本大会のみとなる。この大会においての夏季大会シード権はない。よって第93回全国高等学校野球選手権大会東西東京大会はフリー抽選となる。
[stadium]江戸川区球場[/stadium]の第1試合は日大豊山対明大中野。予定通り10時に試合開始した。
2回の表、日大豊山はノーアウト満塁から7番大沼の犠牲フライで1点を先制する。9番荒のタイムリー、1番武藤のタイムリー、2番柏木のレフトタイムリー、相手のエラーなどで一挙7点を入れる。その後は日大豊山の雲田、明大中野は二番手の須田の投げ合いで試合が落ち着く。追加点を入れたい日大豊山は7回の表、大江のタイムリーで1点を追加し、8対0とする。明大中野はこのまま2点を取らないとコールド負けになってしまう。7回の裏、先頭の灰谷は四球、6番倉富がショート内野安打、7番田中は四球。無死満塁のチャンス。代打・石渡が打った打球はショートへ。ショートが弾き、オールセーフ。まず1点を返す。9番吉原のサードゴロで1点を追加し、コールドを阻止する。だが明大中野の粘りはここまで。日大豊山が2回戦進出を果たした。
日大豊山は7回に集中力を欠くプレーが目立ち、コールドを逃した。エラーから失点をとられただけに非常に勿体ない。
しっかりと手綱を締めて次の佼成学園戦(6日 神宮第二12:30)に臨んでほしい。
この試合で目に付いたのは日大豊山のエース雲田 海 (右・左 182センチ72キロ 3年生)。
182センチの長身から振り下すストレートは常時130キロ~135キロ(マックス137キロ)を計測。変化球はスライダー、カーブ、縦のスライダーを交え、ストレートを見せ球にしながら縦のスライダーで空振り三振を狙っていく投手だ。クイックは1.2秒前後と平均タイムに達しており、ランナーの気配りも忘れない。課題はアーム式の投球によるボールの切れ不足か。コンスタントに130キロを計時しているものの、回転不足でイマイチ切れを感じない。左肩が開くのが早く、強いストレートは外角にいくケースが多い。消耗度も大きく、終盤になるほどにストレートの威力、コントロールの精度が落ちていった。アーム式のフォームを否定するつもりはないし、いきなり矯正しても直るものではない。アーム式で上の世界で勝負している投手はいるから。上背もあって地肩も強い投手なので、自分なりで方向性を定めてステップアップする事を期待したい。
灰谷 圭一朗(明大中野)
3番ライトの高田 勇気(左・左 180センチ71キロ 3年生)はがっしりとした体格が目に引くが、確実性に欠く。
スクエアスタンスで構え、グリップを高めに置いて構えていく姿は迫力がある。パワーは十分にあるので、もう少しタイミングを上手く取れるようになると確実性は上がっていくだろう。地肩の強さは平均的。
3安打を放った5番センターの柴山 勇人(右/右 179センチ69キロ 2年生)は高田に劣らない体格を持った外野手。
スタンスはスクエアスタンス。グリップは肩の位置に置いてヘッドを回しながらリラックスして構えている。投手の足が降りたところから始動を仕掛けていき、足を小さく上げて真っ直ぐ踏み込んで打ちにいく。打球自体は速いが、やや腕が硬く柔軟性をあまり感じない。今後は対応力を高めていけば更に凄みをましそう。そしてセンターの守備は送球の確実性を求めていきたい。
明大中野は二番手の須田 晃史(右/右 180センチ78キロ 3年生)が3回から投げて4回1失点。
ストレートのスピードは130キロ前後だが、昨年よりもキレが出てきた。スライダー、カーブ、シュートをテンポよく投げ分け打たせて取る投球を展開。フォームのバランスは良く、クイックも1.1秒台と素早い。投手としての完成度、安定感ならば雲田を上回っていた。夏ではエースとしての働きが期待されるだろう。
野手ではサード灰谷 圭一朗(右/右 180センチ70キロ 3年生)に注目。
均整の取れた体格をしており、スクエアスタンスから鋭い打球を飛ばしていく。1打席目に痛烈なセンター前を記録し、四打席目には盗塁を決めた。
(文=編集部:河嶋宗一)