試合レポート

別府青山vs都城商

2011.10.25

別府青山vs都城商 | 高校野球ドットコム

別府青山 上原大樹主将

難しい初戦の入り方

 1回戦を勝ち上がった別府青山に対し、都城商業は今大会の初戦。
「県予選からこのパターン」と都城商業の河野真一監督は、背番号10の滿行嘉(2年)からエースナンバーの温水賀一(2年)へ継投するプランで試合に臨んだ。

だが、その滿行が1回表にいきなり捕まった。先頭の1番安翔太(2年)にヒットを浴びると、盗塁や四球などで2死1、2塁。打席には5番の上原大樹(2年)。2ボール2ストライクからの5球目、高めの甘くなった球を、上原は捕え、打球は右中間を破った。走者が生還し2点を先制された都城商業。さらに6番榎本大樹(2年)にもタイムリーを浴びて3点目。

「守りからリズムを作って攻撃に」と西村一貴主将(2年)がじゃんけんに勝って後攻を取ったのが、完全に裏目となった。
九州大会最初の守りでいきなり背負った大量失点。これが悪循環の始まりだった。

2回にも1点を失い、差が4点となる。ゲームプランが完全に崩れた都城商業。河野監督は、エース温水を早く投入せざるを得なかった。

2回裏に1点を返した後、温水は3回の守りを三者連続三振で仕留め、立て直しの兆しは見えていた。だが、自信のある打撃は別府青山の先発・中村大亮(2年)を攻めながらも、肝心な所でダブルプレーや野手の正面を突く、ポジショニングに阻まれるなど乗り切れない。
4回、5回と2点ずつ失った温水。7回に相手投手の乱れをついて差が2点まで縮まったが、9回表先頭の上原に一発を浴びたのをきっかけに3失点で万事急す。
自分達の流れにする前に、機先を制されたのが最後まで響いた。


別府青山vs都城商 | 高校野球ドットコム

別府青山 中村太亮投手

先発の滿行が41球も投じた1回の守り。「あんなに長く(1回表を)守ったことはなかった」と肩を落としたのは主将の西村。

先発投手起用失敗についてはあくまでも結果論。
この継投が、チームが積み重ねてきたパターンなのなら、失敗ではなかったと言えるだろう。ただ、指揮官の「(勝てば)連戦になりますから」という言葉には引っ掛かる印象を受けた。勝たなければ〝次〝はないトーナメント。初戦こそ一番重要だと言える。勝って初めて「連戦」という言葉が使えるのではないだろうか。
大会初戦のゲームに対する入り方、1試合を勝ち上がってきた相手チームの勢い。戦い終えた選手の目は、野球の怖さを痛感していたようだった。

 
最後に、このゲームは大会初日(22日)の長﨑日大対大牟田のゲームが延長15回引き分け再試合になり、日程とブロック的に直接の関係がないにも関わらず、1日順延となってこの日に行われた。大会2日目の23日は、再試合を行ったにも関わらず、1日の試合数が6から5に減っている。だから本来なら23日に行うことができるカードだった。

『なぜ、雨で中止でもないのに、いきなりこの試合だけが弾き飛ばされる形になったのか』と思う人がいてもおかしくない。
大会本部にも事情はあるだろうが、23日に試合をすることを前提に準備してきた選手や応援団にとって、少し気の毒な感じもあった。

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.18

【春季関東大会】白鴎大足利・昆野が最速152キロを計測!前橋商の剛腕・清水はまさかの5失点…。チームもコールド負け!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?