岩下大輝、二木康太らが奮闘するロッテの高卒生え抜き先発投手たち
高校時代の岩下大輝
9月上旬までに今秋のドラフトへ向けた高校生合同練習会が東日本、西日本それぞれの会場で行われた。甲子園が中止となったことでアピールの場を失ってしまった選手たちが、プロ野球団のスカウト陣を前に思う存分プレーしたようだ。
そのなかで山下舜平大(福岡大大濠)や内星龍(履正社)に豆田泰志(浦和実)ら投手陣に注目が集まっていた。各球団ともにチームの屋台骨を支えてくれるような先発投手を高卒で獲得することができたら、数年はやりくりが楽になる。
さて、現時点では各球団、生え抜き高卒の先発ローテーション投手は、どれだけ存在しているのだろうか。各球団の今シーズンにおける登板数上位5名を振り返ってみたい。
今シーズンのロッテは開幕ダッシュに成功し、ここまで上位争いを繰り広げている。その先発ローテーションの柱は開幕投手も務め、ここまで14試合に先発している石川歩(東京ガス)である。開幕から6試合白星がつかなかったが、7試合目で初白星をマークするとそこから6試合連続勝利とさすがの投球を見せている。
その石川と同じく14試合に先発しているのが小島和哉(早稲田大)だ。大卒2年目の左腕は、開幕から1度も登録を抹消されることなく、ローテーションを守ってきた。なかなか長いイニングをなげることができずにいたものの、8月26日の楽天戦からは3試合連続でHQS(7回以上自責点2以下)を達成し、一皮むけた感がある。
石川と小島に続くのが今シーズン楽天から加入した美馬学(東京ガス)と高卒6年目の岩下大輝(星稜高)である。美馬は防御率4.50と見栄えは良くないものの、7月21日の西武戦で黒星を喫してから敗戦投手になっていない。8月11日の日本ハム戦から9月13日のオリックス戦にかけては5試合連続勝利と結果を残している。ここまで無失点で終えた試合はないが、安定した投球を続けていると言っていいだろう。
一方の岩下は開幕から6回を超えて投げることができなかったが、9月17日の西武戦では9回途中1失点とプロ初完投まであと少しに迫った。奪三振率も一軍デビューを果たした2018年から5.96→6.91→7.85と年々上昇しており、今後もローテーションの軸として期待できそうだ。
さらには二木康太(鹿児島情報高)と中村稔弥(亜細亜大)が8先発で続いており、その他にもトミー・ジョン手術を受けた種市篤暉(八戸工大一高)も控えている。
このように安定した投球を続ける石川や小島、そして美馬といった大卒や社会人出身、そして移籍組がローテーションの軸となり、高卒の岩下や二木らが脇を固めている。まさに高卒、大卒、社会人、そして移籍組がうまく絡み合ったローテーションだ。
金の卵として加入した佐々木朗希(大船渡高)も、数年後にそのなかに入ることができるだろうか。
【先発登板数上位】
1位(14)石川歩(東京ガス)
1位(14)小島和哉(早稲田大)
3位(13)美馬学(東京ガス)※楽天から移籍
3位(13)岩下大輝(星稜高)
5位(8)二木康太(鹿児島情報高)
5位(8)中村稔弥(亜細亜大)
※数字は2020年9月23日終了時点
記事=勝田聡