試合レポート

至学館vs山田

2019.07.14

シード校登場の愛知大会、至学館は5回コールドで進撃

 昨夜来の雨で、いくつかの会場ではグラウンドコンディションがままならず試合が中止にもなった愛知大会。そんな中で、人工芝の[stadium]パロマ瑞穂球場[/stadium]は、雨も上がったので定刻通り通りにプレーボールとなった。

 センバツで全国制覇を果たした東邦が、前日の2回戦で星城にコールドで敗退するという波乱含みとなっている。この日の3回戦から、シード校が登場することになっている。春季県大会でベスト8の至学館も、この日が初戦となった。
 シード校となった場合、開幕してから、実戦までの間隔があいてしまうので、そのことがいくらか心配だというが、至学館もそんな不安も若干あったという。それでも、この試合に関していえば至学館は大会の入りとしてはいい感じだったと言っていいであろう。

 至学館の麻王義之監督は、「特に秀でた選手がいるわけではないので、いつも全員野球で、多くの選手を起用して、相手に対応しながら戦っていくのがスタイル」とかねてからチームについてそう語っているが、この日も5回コールドだったが、15人の選手が起用された。そして、それぞれが、その役割を果たしていたと言えよう。

 初回は、いきなり関君、佐野君の連続三塁打で先制すると、3番西尾君は会心のスイングで右翼席へ運んだ2ランでこの回3点。2回には、至学館らしく一死一三塁から、一塁走者が意図的に挟まれて、その間に三塁走者が生還するというプレーも見せた。そして3回には、一死二、三塁でスクイズ野選の後、7番名越君の右越三塁打などでさらに4点。4回、5回にも加点してコールドゲームが成立した。

 投手陣も5回ながら、3人が投げ分けた。先発した熊谷君は下手投げで、2イニング打者7人に対して被安打1のみで3三振。2番手184cm本格派の投げおろし疋田君は3人でぴしゃりと抑え2三振。さらに3人目の左腕渡邉君は切れ味のいい投球で、2イニングを完全に抑えて5奪三振。至学館としては、ほぼ申し分ない試合だったといってもいいであろう。

 麻王監督も、「昨秋に、学園からグラウンドをプレゼントしてもらえたので、打撃練習は例年に比べて、10倍くらいはやれていると思いますよ」と言うが、その成果も出ていたと言えようか。それに、こうして雨で日程がずれ込んでいくスケジュールは、至学館が初出場を果たした2011年を思わせるところもある。

 「周囲からもそんな感じで、『今年はちょっと、匂うねぇ』なんてことも言われますけれども、ウチらしい試合を続けていくだけです」

 麻王監督は、きわめて冷静に捉えている。それでも、打撃に関しては、例年以上の手ごたえも感じており、優勝候補筆頭の東邦が崩れた今、「ひょっとしてひょっとしそうな…」雰囲気を漂わせている至学館である。
 初戦を何とか突破して至学館に挑んだ全選手で13人の山田だったが、2回に6番森君が執念の右前打を放ち、無安打試合は回避できたのはよかったであろう。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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