試合レポート

健大高崎vs福井工大福井

2017.03.28

福井工大福井打線を翻弄した向井 義紀

健大高崎vs福井工大福井 | 高校野球ドットコム
山下 航汰(健大高崎)

 福井工大福井の先発、加藤 功海(3年)も健大高崎の先発、向井 義紀(3年)もストレートのスピードは130キロ台が最速で、変化球に活路を見出す技巧派と言っていい。当然、勝敗を分けるのは変化球のキレということになるが、向井は逆方向のチェンジアップとスライダーのキレが素晴らしく、2日前に16安打を放った福井工大福井打線を翻弄した。

 勝敗を分けたのは1回の攻防だ。福井工大福井は1回表、2番山内 貴文(3年・中堅手)がセンター前にヒットを放つと、前々日の延長15回、7対7の激闘の殊勲者と言っていい3番井上 聞都(3年・一塁手)がセカンドのエラーで生き、一、二塁のチャンスを迎える。4番のキャッチャーフライで2死になり、続く5番佐藤 勇斗(3年・右翼手)は前々日、レギュラー右翼手の右ヒザ故障で途中出場し、2安打を記録しているラッキーボーイである。その佐藤が4球目に打った打球が三遊間に飛び内野安打となるが、この打球が二塁走者に当たって守備妨害が宣告されてチャンスを生かせなかった。

 その裏、健大高崎は1番安里 樹羅(3年・遊撃手)がライト前ヒットで出塁すると2球目に二盗を成功、1死後に3番山下 航汰(2年・一塁手)がセンター前にタイムリーを放ち先制。さらに2死後から、5番髙山 遼太郎(2年・右翼手)、6番大越 弘太郎(2年・二塁手)、7番今井 佑輔(2年・中堅手)が3連打を放って3点を加えた。

 前々日の延長15回引き分けゲームで高山は2打数1安打(途中交代させられる)、大越は7打数1安打、今井は7打数0安打とまったく当たりが出なかった。福井工大福井が前々日のラッキーボーイを送り出しながら無得点、健大高崎が前々日のアンラッキーボーイで3点を奪うという好対照。野球はつくづく難しい。

 勝負を決したのは4回裏だ。高山がライト前ヒットで口火を切り、今井が左中間に三塁打を放ち5点目が入り、8番打者のスクイズで6点目。2死走者なしとなり、これで健大高崎の攻撃はひとまず終わったと誰でも思う。ところが9番向井がセカンドのエラーで出塁、安里、小野寺がライト前ヒットで続いて2死満塁となり、ここで3番山下が2ボール1ストライクからのスライダーを振り抜くと、ライナーの打球がレフトスタンドに突き刺さって10対0となり、勝敗の行方はほぼ決した。

 注目は健大高崎の向井が完封できるかどうかに集まった。同じようなスピードのチェンジアップ、スライダー、ストレートをコーナーに投げ分け、緩急をつける90キロ台のカーブが投球にアクセントをつけ、福井工大福井の各打者はまったく的が絞れない。2回以降、放った安打は8回、北川 智也(3年・遊撃手)がノーアウトからライトに放った三塁打だけで、このチャンスも後続が3三振を喫し、無得点に終わった。9回に四死球と健大内野陣の守備の乱れに乗じて2点奪ったが、ここまでが精一杯。投手陣に不安のあった健大高崎に頼もしい投手が出現した。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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