神村学園vs鹿児島城西

2点本塁打を放った田中 怜央那（神村学園）

　神村学園が誇る右の大砲、1番・田中 梅里主将（3年）と4番・田中 怜央那（2年）の「Ｗ田中」のバットが火を噴き、準々決勝のれいめい戦に続いて第1シード鹿児島城西もコールド勝ちで九州大会出場を勝ち取った。

　大会屈指の好右腕・平 将太（3年）が相手でも積極的な攻めの野球を貫いた。
立ち上がり、田中梅が4連続ボールの四球で歩くと、2番・吉田 虎太郎（3年）は送りバントをさせずに強行。「コントロールに苦しんでいる相手に、アウト1つやるよりも、畳みかけた方がいいと判断した」と小田 大介監督。「（バントも強打も）どちらも準備できていた」吉田がヒットでつなぎ、3番・島中 大輔（2年）のセンターオーバー二塁打で2点を先制する。続く4番・田中怜はバックスクリーンに飛び込む特大2ランを放った。

　今大会、好調な神村学園打線の中で「Ｗ田中」は調子が今一つ上がっていなかった。
「打席で力みすぎてガチガチになっていた」と小田監督。何とか復調させようと、小田監督が打撃投手を買って出て、「Ｗ田中」と特打をしたという。れいめい・太田 龍（3年）や平ら140キロクラスの速球投手が対戦相手だったが、小田監督はゆっくりしたボールを投げて、リラックスして引き付けて打つ練習を徹底した。「逆転の発想ですね」と小田監督。

「おかげでリラックスして打席に立てた」と田中怜。「しっかりためて、素直にバットが出た」打球は大きな放物線を描いて「センターに取られる」と思ったが、風に乗ってバックスクリーンに突き刺さった。

　れいめい戦は無安打だった田中梅主将も、2打席目でレフト前ヒットを放って落ち着いた。「ボテボテの当たりでもヒットになったことがうれしかった」。3打席目は8点目のセンターオーバー二塁打、5打席目はコールド勝ちを決めるライトオーバー三塁打と、今までのうっ憤を晴らすかのような快打を連発した。「右方向に打球が行くときは調子が良い時なんです」とようやく力みの抜けた笑顔が浮かんだ。

（文＝政 純一郎）