早稲田実業vs本郷
HRを放った八木(早稲田実業)
早稲田実業が15得点で本郷に圧倒!2年ぶりの都大会出場を果たす
王貞治記念グラウンド。
2004年7月に竣工された早稲田実業硬式野球部の専用グラウンドだ。最寄り駅は京王線多摩境駅。駅から出て、右側へ進むとトンネルが見える。そのトンネルをくぐり抜け、右側に見える坂道がグラウンドの入り口である。両翼93メートル、中堅120メートル。レフトスタンドの奥には室内練習場が見える。
観客席は一塁側、三塁側に設置されている形となっている。東京大会ブロック予選。第1試合は早稲田実業と本郷との対決だ。
1回の表裏は両校無得点に終わり、2回表、早稲田実業は一死満塁から9番二山の時に先発・与那覇のボークで1点を先制する。二山がセーフティスクイズを決めて1点を追加し、2対0。さらに3回の表は3番八木がレフトフェンスを遙かに超えて室内練習場の屋根を直撃する大ホームランを放ち4対0と突き放す。
その後は早稲田実業の打線が爆発。合計19安打16得点を奪う猛攻。投げては左腕の二山が5回被安打1無失点に抑える好投で早稲田実業が順当に都大会出場を決めた。
早稲田実業のエース・八木健太郎。1年夏の甲子園で140キロ台の速球を披露。その成長ぶりを確認するために早実グラウンドに足を運んだが、登板せず空振りに終わった形となったが、野手として非凡なセンスを見せた。
両膝を折り曲げて重心を下げて構えるスタイル。手元まで引き付けてボールを叩くスイングだ。3打席目まではボールを巻き込んでレフト方向へ飛ばす打撃が見られたが、第4打席はストレートを引き付けて右中間へ飛ばす当たりも見せてくれた。
肉体面もかなり成長しており、特に腰回りと太ももが逞しくなり、細身だった1年夏に比べると内に秘めたるパワーは出てきた。彼がホームランを打つこともできるのも頷ける。
守備でチームを盛りたてた米良(本郷)
彼の登板は見られなかったが、本大会に登板する機会があれば1年夏よりもパワーアップした投球を見せてくれるに違いない。
一方、敗れはしたものの本郷は外野守備のレベルが非常に高いチームだった。特にセンター米良は打球判断、守備範囲、地肩の3要素が優れた素晴らしい外野手であった。1回の表から4番熊田(左)が放った右中間寄りの打球に素早く反応し、無得点を演出。
4回表には一死1,2塁から1番小形(左)が放った打球は右中間へ鋭い打球。これは完全に抜けると思われる当たりだったが、なんと米良は落下地点に追いつきアウトにするのだ。完全に抜けると思っていた早稲田実業の走者は戻ることができずにダブルプレーを決めた。
5回表にも深い当たりに素早く反応して、アウト。アウトにはできなかったが、やや深い位置からダイレクト返球を見せて、強肩を披露した。
この秋から観戦してきて彼と比較出来るのは横浜の外野陣ぐらい。それくらい彼の外野守備は高いレベルに到達している。
課題は打撃。スイングが弱く、タイミングに全く合っていない。彼ほどの外野守備が出来る選手ならば高校レベルで留まらずぜひ大学でも続けてほしいと思わせる好選手。
課題の打力向上のために懸命に努力し、春には大きく成長した姿となってグラウンドで躍動していることを期待したい。
(文=編集部:河嶋宗一)