試合レポート

都立豊多摩vs都立久留米西

2016.09.26

都立豊多摩ミスを逃さず都立久留米西を破る

都立豊多摩vs都立久留米西 | 高校野球ドットコム

櫻井(都立豊多摩)

 ともにこのチームの監督就任は4月から。しかし、都立豊多摩の平岩 了監督は、都立城東など、都立の強豪校の監督を歴任したベテラン監督。しかし都立豊多摩の監督就任について平岩監督は、「いやーカルチャーショック。今まで追い求めていたものとは、違います。生徒たちは野球をしに、この学校を選んだわけではありませんから」と言う。都立豊多摩は都立校の中で、決して弱い方ではない。いわば、普通の都立校だ。しかし都立城東など、甲子園を意識して入ってくる生徒とは、どうしても意識に差がある。

 一方都立久留米西の大倉 孝平監督は、明大明治、明大と、学生野球のいわば王道を歩んできたが、教師になって3年目、監督就任は今年度からで、ベテラン益子久部長の指導を受けながら、「日々勉強です」と大倉監督。監督としての経歴は対照的な都立校対決となった。

 この試合、都立久留米西は先発の杉本 完太、2番手の平野 雅人、3番手で背番号1の金子 睦と、それぞれ球威はさほどないものの、丁寧な投球で善戦した。しかし3回と8回、守備の乱れもあり崩れたことが、この試合の全てであった。

 まず3回表都立豊多摩は、9番海老澤 快斗が左前安打で出塁すると、1番横堀 遥己のバントは投手の暴投を誘い、2番東浦 晃明のバントは野選となり、無死満塁。3番田中 翔には四球で押し出し。さらに4番田中 悠貴の中前安打で2人が還り、この回3点が入る。

 一方、都立豊多摩の先発・櫻井 優樹は背番号3ながら、夏は背番号1であり、もともとエース格。がっちりした体から、重そうな球を投げる。ただし、カーブに頼りすぎるきらいがあり、平岩監督も、「もっと押して良かった」と語る。

 6回裏都立久留米西は、この回先頭の2番草彅 遼馬が中前安打で出塁すると、二盗、三盗と立て続けに決め、5番小川 登大の左前安打で1点を返す。しかし都立久留米西の反撃もここまで。

 8回表都立豊多摩は、5番櫻井が四球で出ると、6番大沼空のやや失策にも近い内野安打などで二死二、三塁。8番馬場 晶大の右前安打で2人が還った。

 2回表に、この回先頭の櫻井が二塁打を放ったのを除けば、都立豊多摩にとってチャンスらしいチャンスは、相手のミスもあった3回と8回だけ。そこを確実にものにするところが、チームとして、一枚上手だったと言える。

 都立久留米西の大倉監督は、「あの2回が後悔です。落ち着かせることができませんでした」と語る。相手の平岩監督について、「経験の多い方なので、タイムの取り方など、勉強になることがたくさんありました」と言う。飛び抜けた選手はいないが、「バッテリーを中心とした、守りをしっかりさせてきたい」と、これからの抱負を語った。前日は都立南平を破り、1つステップを踏んだだけに、都立久留米西は監督も選手も、学んでいきながら、成長していってほしい。

 一方本大会の出場を決めた都立豊多摩であるが、本大会では、より強い相手と対戦することになる。「口で言うだけではだめで、経験しないと分からないことがあります」と平岩監督。平岩監督の目には、まだまだ足りないところがたくさん映る。そうしたことは、選手自らがいろいろな経験をすることで、平岩監督の目指す野球に近づいていくはずだ。

(文=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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