都立東村山西vs都立国立

　都立勢同士の対戦であるが、実績では都立で初めて甲子園出場を果たした都立国立が上回る。体格も都立国立は先発の田上豪太が177センチなのをはじめ、170センチ台の選手が多いが、都立東村山西は先発の櫻田修平が163センチなのをはじめ、160センチ台の小柄な選手が目立つ。

　しかし試合が始まると、小柄な選手たちが、コンパクトに振り抜き、鋭い打球を連発し、都立国立を圧倒した。

　1回表都立東村山西は1番原田龍之介が四球で出塁すると、2番浅野大輝の一塁線のバントは、ファールにならず内野安打に。3番鈴木龍也が送り、4番武井大地の右犠飛でまず1点。

　2回表に都立東村山西の猛攻が始まる。この回先頭の6番櫻田が左前安打。7番山仲輝希の三塁強襲打、9番桜庭宙也の左前安打で一死満塁とし、1番原田は、前の打席に続き四球で押し出し。

　続く浅野は押し出しの後の初球を叩き、レフトオーバーの二塁打を放ち2人が還る。3番鈴木龍に死球を出したところで、都立国立は先発・田上に代わり森涼真が登板。4番武井はその2球目を叩くと左前安打となり、また1点。5番佐藤歩未の中犠飛でさらに1点を加え、都立東村山西はこの回5点を入れた。いずれも、コンパクトに鋭い打球を飛ばしての得点であった。

　都立国立も3回に反撃に出る。この回先頭の1番城澤文が四球で出塁すると、2番若林諒は右前安打。右翼手が処理を誤る間に城澤が生還して1点を返す。しかし、その後２つの四球で一死満塁とチャンスが続いたが、5番田邉勇斗が遊撃手への併殺打に倒れ、点差が縮まらない。

　都立国立の2番手・森は、交代当初に失点したものの、その後は走者を出しながらも、丁寧な投球で9回に1点取られるまで、無失点に抑える。

　しかし都立東村山西の櫻田は小柄でも、球に見た目以上の伸びがあり、安打を許さず、試合の流れを渡さない。櫻田は8回、9回に1本ずつ打たれたものの、被安打は3。球がやや荒れて四死球は8個出したものの、安定した投球で７－１、都立東村山西の勝利に貢献した。

　都立国立にすれば、2番手の森が好投しただけに、序盤の失点が悔やまれる。逆に言えば、相手がリズムに乗り切らないうちに、集中的に攻撃した都立東村山西の攻撃は見事であった。

　都立東村山西は、次は工学院大付と対戦する。機動力を誇る工学院大付と、コンパクトに振り抜く都立東村山西の、カラーが違う攻撃型チームの対戦は、楽しみだ。

（文＝大島 裕史）

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