試合レポート

東洋大姫路vs伊丹北

2015.04.19

8回完封!24アウト中、内野ゴロは16!

8回3安打完封の山岡司(東洋大姫路)

 東洋大姫路は今大会で初めて背番号1をつけた右腕・山岡司(3年)が先発のマウンドに立った。「最初は球がやや上ずった」とヒットを浴びたが、持ち味である低めの球を打たせて取るピッチングを見せはじめると、リズムに乗った。味方打線がコールド勝ちを決めてしまったために8回までという形にはなったが、3安打無失点。24個のアウトのうち、16個が内野ゴロという内容で公式戦初完投を果たした。

 本来のエースは岡本健嗣(3年)。だが藤田明彦監督によると、春の西播地区予選以降中々調子が上がらなかったそうだ。さらに「3年生の投手が岡本一人という状況だったので」という夏を見据えた指揮官の構想から、内野手をしていた山岡に白羽の矢が立った。

 入学時は投手で、「ずっと戻りたいと思っていた」という山岡にしても、投手再転向は願ったりの状況。岡本からエースナンバーを奪った今大会にかける意気込みは強い。試合後には、「背番号1のまま、夏の大会まで行きたい」と力強く語った。

 さて、この試合で伊丹北大西健太(2年)と松田裕馬(3年)のバッテリーは、走者が出ると何度かピッチドアウトをして盗塁やスクイズの警戒をした。イニング間の投球練習の最後にキャッチャーが二塁へ投げる際にも、ピッチドアウトをしている場面がみられ、この練習がかなりしているものと推測できる。

 ただその裏をかく形で、攻撃を有利に進めるきっかけを作ったのが、東洋大姫路の1番・岩田幸宏(3年)だ。「普段は2番か9番を打っている選手」と藤田監督が話すように、この日打順を変更されて1番に起用された選手。この岩田が1回裏、伊丹北・大西の第1球をバントし、内野安打を勝ち取った。

 そして2番・名本塁(3年)の2球目、バッテリーがピッチドアウトをしたにも関わらず、盗塁を成功させる。この後、3番浅沼良太(3年)のタイムリーで先制のホームを踏んだ岩田。大西が岩田に投じた1球目から、先制まではわずか8球という電光石火の攻撃だった。

 この試合で東洋大姫路が決めた盗塁は5。さらにピッチドアウトで外されながらスクイズを決める場面もあった。これも1回裏の初球バントヒットがいかに東洋大姫路の流れになったかがを示すデータと言えるだろう。

 逆に1回の1番打者に思ってもみない初球バントヒットを決められた後、流れを引き戻すためにどう守っていくか。守備をするチームは大きなテーマとしてぜひ考えてみてほしい。
 

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?