松山中央vs内子
松山中央「別角度からのアプローチ」で狙う再浮上
松山中央3番・岸森俊樹捕手(2年・主将)
「この夏はカットプレーばかりやってきました」
今夏愛媛大会後、部長職から監督に転じた松山中央・吉田茂雄監督の試合後発言は、打撃に力を入れてきた他校から明らかに背を向けるものであった。
内子戦でも15安打を浴びながら失点は2。5回表二死から先発左腕・高橋大輔(2年)が2番・稲田和真三塁手(1年)に先制適時打を許すも、続く安田秀一捕手(2年)の左翼線に対し2点目を防いだシーンや、1・2回の2併殺など夏の成果は随所にあった。
6回から1年生変則左腕・松下健将を2番手マウンドに送り込んだことも、後半の攻撃リズム作りに手を貸すことに。内子打線と先発・福嶋司(2年)の好投も十分評価できるが、9回を見据えて最後に逆転した彼らの落ち着きもまた評価に値するものである。
その先には2010年夏には現在3年生にして東都大1部リーグ中央大の2番手格を確固たるものとしている上田晃平がエースだった南宇和を下し北宇和を28年ぶりベスト8へ導くなど、一世を風靡したスキのない守備とスキを突く走塁の融合をベースにしたチーム力強化があるはず。
「まだ走塁はこれからですね」と語る吉田監督の銀ぶち眼鏡の奥には、山村路直(九州共立大→福岡ダイエー)がエースだった1996(平成8)年夏・自らが中心選手だった1997(平成9年)夏の2年連続ベスト8以来の再浮上を期す眼光が既に戻っている。
(文=寺下友徳)