横浜vs湘南学院
横浜が逆転で湘南学院を下す
[stadium]相模原球場[/stadium]の第2試合は、週末、4回戦の好カードということもあり、内野スタンドは、ほぼ満席となった。
第3シード、強豪の横浜に対するは、昨年、春ベスト8、夏ベスト16と、上位の成績を残し力をつけている湘南学院。
接戦の好ゲームが予想された。
気象コンディションは、曇りで気温27.5℃で、西南西1.5mの風、湿度63%。
上旬の記録的な猛暑とうって変わり、しのぎやすい暑さだが、猛暑の後のこういう暑さに油断は危険で、選手には水分補給など十分な熱中症対策をお願いしたい。
試合は序盤から動いた。
横浜の先発は背番号10、右腕の小田。その小田に対し、1回表、湘南学院はトップの柳原がいきなりセンター前ヒットで出塁し、続く2番の岡田もフルカウントから詰まりながらもショートの頭を越えるヒットで走者一、二塁。 3番の片岡がバントで確実に送り、一死二、三塁となってバッターは4番三谷。ここで横浜の内野陣は前進守備を敷くが、バントの構えで揺さぶりをかける三谷に対し小田はストライクが入らず、ストレートの四球で1死満塁。横浜の守備陣が、併殺狙いのポジションにシフトする。このチャンスに5番富田の打球はボテボテのピッチャーゴロとなったが、これで三塁ランナーが帰還し湘南学院が1点を先制する。
その裏、横浜は1番根本が湘南学院の先発、エースの立川からセンターに抜けようかという打球を放つもショート大森が回り込んで軽快に捌いてアウト。続く2番川口はセンター前ヒットで出塁するも、3番浅間の右中間の大きな飛球をライト岡田がランニングキャッチ。4番、スラッガーの高濱が打席に立つと、湘南学院の外野、特にセンター、レフトの守備位置がフェンス付近まで下がる。立川は高濱をレフトフライに討ち取り、初回を堅守で無得点に抑える。
続く2回表、湘南学院は先頭の7番遠藤が三遊間を抜けるレフト前ヒットで、またもノーアウトから出塁。続く8番大久保は三塁前にバントをするが、横浜のサード川口が好判断で二塁に送球、フォースアウトとなる。
これで湘南学院はチャンスを潰したかに見えたが、続くラストバッターの大森がライト前にクリーンヒットを放ち、一死一、三塁と大きなチャンスを迎える。ここで打順はトップに還って柳原。ここで横浜は、早くも投手を小田から中島に交代。その中島に対し、柳原はスクイズを敢行。ボールが三塁線に転がり、中島がマウンドから走り込んでグラブトスするが間に合わず、三塁ランナーが生還。湘南学院が2対0とリードを広げる。
続く2番岡田がセイフティ気味の送りバントでランナーを進め、二死二、三塁としたところで、横浜はさらに投手を交代し、初回に伝令に出たエース伊藤をマウンド投入。3番片岡を高めの力のあるストレートでサードファールフライに討ち取り、これ以上の失点は防いだ。
横浜は2回裏、先頭の5番渡辺が立川の大きなカーブを引きつけて右中間に鋭い打球を飛ばし、ライト岡田のダイビングキャッチが僅かに及ばず、2ベースとなってチャンスを迎えるも、後続がつながらず無得点。しかし、続く3回に反撃。 先頭の9番伊藤が初球をセンター前に運び、続くトップバッターの根本の送りバントで1死2塁とすると、2番川口はライトに鋭い大ファール。結局、ファーストゴロに倒れるも、ランナーが進塁して二死三塁となってバッターは3番浅間。立川のスライダーがワンバウンド、ワイルドピッチとなって1点を返した後、一、二塁間を破るライト前ヒットを放ち、さらに自ら二塁に盗塁。ここで4番高濱が外角のボールにチョコンとバットを合わせて技ありのレフト前タイムリーで2対2の同点。さらに盗塁と四球、6番高井のレフト前ヒットで3対2と、この回、逆転に成功する。
湘南学院は4回、バントヒットと四球、送りバントで一死二、三塁と逆転のチャンスを迎えたが、ディレイ気味のスクイズが失敗して本塁でアウトとなり無得点。その後は横浜の3番手、エース伊藤の前になかなかチャンスが作れず、スコアボードに0が並ぶ。
一方の横浜は、6回と8回にそれぞれ9番伊藤のライトへの鋭い犠牲フライ、8番長谷川のレフトへの2ベースで1点ずつを加え、徐々に湘南学院を突き放した。最終回、伊藤が湘南学院の代打、小林をショートへのハーフライナーに仕留めて試合終了。
横浜が湘南学院を5対2で下し、5回戦進出を決めた。
横浜は序盤こそ不安な立ち上がりだったが、エース伊藤を投入してからは要所を締めて逆転につなげ、横浜ペースで試合を進めた。3番浅間、4番高濱の「AT砲」は長打こそ無かったものの、3回表の逆転に貢献。
一方の湘南学院もエース立川が9回を完投して粘りのピッチングを見せ、序盤にリードするなど強豪、横浜を相手に食い下がった。
ただ、1つ気になったのは、湘南学院の内野陣が8回に5点目を取られたところで、ようやくマウンドに集まったことである。
それまでピンチの場面でキャッチャーだけがマウンドに行ってピッチャーに声を掛けることはあったが、野球に限らず、スポーツには「流れ」があり、相手ペースになりかけた時、その流れを断ち切るためにタイムなど、「間を取る」という戦術が重要視されている。特に3点を失い逆転を許した3回のピンチの場面で、勝負を急がず、一度、内野陣で集まって、少し「間」を取っていたら違った展開になっていたかもしれない。
勝った横浜は、5回戦でいよいよ第2シードの横浜隼人と対戦する。 次戦も熱戦が期待される。
(文:松田 祥二郎)