大島vs国分中央
武田(大島)
芽生えた勝利への「どん欲さ」・大島
前日に勝った神村学園を豪華絢爛な「フランス料理」とするなら、この日対戦する国分中央はちょっと癖のある「タイ料理」のようなチーム。大島が連戦をものにできるかのカギは「フランス料理」を消化し「タイ料理」を食う「どん欲さ」があるかどうかだと思っていた。
「お腹、すいていますよ」
4番・藤原光寿(3年)は試合前、笑顔で言った。この日4安打4打点でチームをけん引した藤原をはじめ、大島ナインは、勝利へのどん欲さを発揮し、13安打10得点で打ち勝ち、22年ぶりとなるベスト4への扉を開いた。
1点差で迎えた3回の逆転劇の口火を切ったのは1番・松田賢人主将(3年)だ。神村戦は無安打だったが「自分が一塁に行くのに一番自信を持っている」セーフティーバントで意表を突き、二盗も決めて揺さぶった。
一死二三塁で打席に立った藤原は「外角にくるのは分かっていたので、間を抜く気持ちで」右翼手の頭上を越えるライナーの長打で試合をひっくり返した。大会序盤は大きいのを狙い過ぎて打撃を見失っていたが、「間を抜く」というチーム打撃の基本に徹し、力強く打線を引っ張った。
伊集院に初戦敗退した昨秋までは「欲のないチームでした」と松田主将は言う。今大会、喜界、奄美との同郷対決を制し、一つずつ勝ち進んでいく中で「NHK旗も、南本招待野球も、九州大会もとってやろう」と「欲」が芽生えてきた。九州大会出場をかけて対戦するのは鹿屋中央。投打ともに力があり、ボリューム満点のアメリカ料理のようなチームだ。
「大高の野球をやり切るだけ。もっと暴れて大島の名前を鹿児島にとどろかせますよ」
松田主将は力強く言い切った。
(文=政 純一郎)