東亜学園vs都立足立西
足立西・中村君の好打
強豪撃破の進撃続く足立西、
序盤のリードを守り切れず苦杯
試合時間1時間46分。テンポのいい好試合だった。
ブロック予選では国士舘を延長10回サヨナラで下し、本大会でも1回戦で創価を倒すなど、甲子園出場実績のある私立強豪校を撃破してきた足立西。その戦いぶりは大いに注目された。
その勢いは、この試合でも発揮された。いきなり初回に2四球などで貰った好機で5番山岸君の三遊間を破るタイムリー打で先制。続く松田君も一塁手を強襲する安打で2点目。2回にも、しっかりとバントを決めながら走者を進め、相手失策を呼んで加点した。
こうして試合は足立西のペースで進んだ。足立西のマウンドは背番号8ながらエース格の左腕中村君だ。「投げない時は3番センターで出ていますし、もう一人の投手でもある鈴木嵐が夏の練習でよく頑張っていたので、何とか1番を突けさせてあげたかった」という久保隼人監督の配慮もあって、中村君は8をつけることになっていた。
実は、その中村君に対して赤羽岩淵中時代から勧誘していたのが、東亜学園の上田滋監督だった。結局は、兄も足立西の野球部だったということもあって、足立西に進学をしたのだけれども、それがこうした場で戦うというのも何かの因縁であろうか。
足立西・中村君
そんな縁もあった中村君に対して、東亜学園は初回には、1死一三塁から田中君の中犠飛で1点を返す。さらに、3回は2番蓑原君が左翼へソロホームランを放って1点差。立ち上がりの硬さがとれたのか、東亜学園の古川君は3回からは低目へのコントロールも安定してきて、3~6回まで足立西打線を3人ずつで抑えていた。
そして、その間の4回に、東亜学園は6番円藤君の左越二塁打でついに追いついた。こうなると、東亜学園の方に勢いがある。
6回、先頭の田中君が左翼線へ二塁打すると、バントで三塁へ進め、長打力のある円藤君は、外野飛球でもOKという場面だったが、リラックスして入った打席は左翼フェンスに届こうかという大きな弧を描いた二塁打で田中君を帰した。
結局、これが決勝点となったのだが、足立西としては、3回以降ではわずか1安打しか放てなかったのも痛かった。
足立西の久保監督は、「ここまで、強豪相手にもワンチャンスを生かしてきていたのですが、立ち上がりにリードできたのはよかったんですが…、後半で追加点が欲しかったですね」と、悔やんだ。
東亜学園の上田監督は、「相手の投手がいいことはわかっていたので、こういう試合にはなるかなと思っていました。円藤の長打でリード出来ましたけど、ウチとしては8回の無死二三塁という場面で、内野ゴロでも打てて、これで1点を取っていくという野球をやらなくてはいけないんですけれども、あそこで三つ簡単に打ち上げちゃっていますからね」と、もう一つ、細かい野球をし切れなかったことを反省点として挙げていた。
(文=手束仁)