鹿児島実vs大垣日大
野田(鹿児島実)
鹿児島実業が大垣日大の連覇を阻む!
鹿児島実と大垣日大の準決勝。
鹿児島実は野田昇吾、大垣日大は葛西侑也と、両校とも左の好投手を配するチームだ。
試合は鹿児島実が2回の表、9番佐々木のタイムリーで1点を先制。
大垣日大も4回の裏、ワンアウト2,3塁から時本のショートゴロで同点に追いつく。
同点で迎えた7回の表、ノーアウト1,3塁から代打・林のライト線を破る二塁打で鹿児島実が勝ち越し。さらに平山の犠牲フライで1点を追加し、3対1とする。
反撃したい大垣日大は7回の裏、ツーアウト二塁から2番後藤健のライト前タイムリーで1点差に。
しかし鹿児島実は9回の表、1番平山のショートゴロで1点を追加で勝負あり。
4対2で鹿児島実が大垣日大を下し、決勝進出。大垣日大の連覇は潰えた。
完投勝利を挙げた鹿児島実のエース野田昇悟(左/左 167センチ52キロ)。
明徳義塾(2010年11月15日)では四球を多く出してしまい不安定な投球だったが、この試合では安定した投球を披露した。
ストレート、変化球ともにコントロールよく決まり、大垣日大打線を打ち取ることができていた。
本人に本日の投球を振り返ると「今日はストレートで押さず変化球中心の投球で抑えていこうと決めました。以前なら追い込むとムキになってストレートで押してしましたが、変化球中心の投球で抑えられたのはよかったと思います」と話した。
マックスは129キロ。130キロ後半を投げていた甲子園に比べると遅い。
九州大会で投げてきた影響はあるかと聞くと「多少はあります。調整の仕方が悪かったというのもありますが、ここまで球速が出ない、コントロールが悪いのはどこか悪くなっていると思います。冬ではその部分を見直して、鍛え込んで取り戻していきたい」と意気込んだ。
調子が悪いとはいえ、悪いなりに抑えられたのは成長の証明だ。
あとは冬の間にしっかりと鍛え込んで再び140キロ近い速球が復活することを期待したい。
葛西(大垣日大)
昨年から大垣日大のエースとして投げている葛西侑也(左/左 176センチ73キロ)。
その投球の安定度は抜群だ。両サイドにストレート、スライダー、カーブを投げ分けていき、正捕手・時本亮(2年)の好リードもあって6回まで1失点に抑えていた。
ただ7回以降に3失点してしまったのは反省点だ。
前半はコントロールよく投げていたが、後半になるにつれて細かな制球力をかけていた。
ストレートの球速がそれほどでもないので、甘く入ればアジャストしやすいのだ。
課題はストレートの球速不足か。この試合では常時120キロ~130キロ(マックス132キロ)しか出ておらず昨年とそれほど変わっていない。
本人もストレートの球速不足には課題を挙げており、この冬は体幹の筋肉を鍛え上げて球速アップにつなげたいと話した。
あとはコーナーワークでの勝負の他に、カットボールなど手元で回転をかける変化球を修得してバットの芯を外す投球もマスターしていくと投球の幅はさらに広がるだろう。
ストレートの球速を高めていくのと、投球の幅を広げるために変化球を習得していくとより打ちづらい投手になるのではないだろうか。
ただこの課題は以前からのもの。彼が投手として成熟するのは少し時間がかかるかもしれない。
大きく成長を見せるときは選抜からなのか、それとも次のステージからなのか。
勿論、私は選抜で大きく成長を見せてくれることを期待している。
(文=河嶋 宗一)
(写真=高校野球情報.com編集部)