Column

食中毒を防ぐためには

2014.07.01

 随分と暑くなりましたね。でも…雨の多い梅雨、そして暑い夏、食品の保存には、あまり向かない季節がやってきました。試合が続くこの時期に食中毒なんて起こしたら大変ですよね(その時期でなくても大変ですが)。今月は、その予防のためにできることをお話しします。

「食中毒」って何だろう?

▲暑い夏には食品の保存が大事です。

 この季節によく聞く「食中毒」。一体、どういうものなのでしょうか。

 食品衛生法(第27条)では「食品、食品添加物、食品に関係ある器具や包装容器などによって起こる比較的急性の健康障害で、経口二類感染症、寄生虫病、栄養障害、異物、外傷によるものを除いたものとなる」と定義されています。

 わかりやすく言えば「汚染された飲食物を摂取して起こる急性の胃腸炎」と言ったところでしょうか。症状としては様々ですが、一般的には腹痛や下痢、嘔吐などが挙げられます。

 これらは、原因により細菌によるもの、自然毒によるものに分けられますが、この時期に多いのは、圧倒的に『細菌性食中毒』。例えば、食肉や鶏卵などが汚染されて起きるサルモネラ菌、おにぎりやお菓子、乳製品が原因で起きるブドウ球菌、食品や調理器具などに細菌が繁殖して起きる腸管出血性大腸菌などです。

 ニュースや新聞などで報道されるのは、施設や飲食店などでの食中毒ですが、先ほど挙げた食品などは皆さんの身近にあるものですよね。つまり、食中毒は身近なもの。普段から予防をしておきたいですよね。

「食中毒」を予防するためには

▲ 食べきれないものを冷蔵庫に入れましょう。

 食中毒を予防するために大切なことを2つご紹介します。

 (1)汚染経路を断つこと
 どんなに他で予防しても、手指や調理器具から感染してしまう場合もたくさんあります。
 当然ですが、調理前には手洗いをする。怪我をしている手で食品を扱わない。調理器具はきれいに洗浄をする。基本的なことですが、ここから心がけましょう。もちろん、食べる前に手を洗うことも忘れずに!

 (2)なるべく早く食べること
 できた食事をそのまま置いておくと、菌も繁殖しやすい状態になります。できるだけ早く食べるようにしましょう。

 どうしても置いておかなければならない場合(お弁当なども)は、できれば冷蔵庫に入れるようにしましょう。保冷バックを使ったり、保冷剤を入れたりすることも有効です。間違えても日向にお弁当を置きっぱなし…ということがないようにしましょう。チームでは保冷剤を入れたクーラーボックスを準備してもいいでしょうね。

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[page_break:「抗菌作用」の食材を使おう]

「抗菌作用」の食材を使おう

▲ 梅干しに含まれるクエン酸(酸味成分)は強い抗菌作用があると言われています。

 よく耳にすると思いますが、調理においては加熱も大切。(加熱で死滅しない菌もいますが)それ以外にも「抗菌作用」がある食材を紹介します。

 (1)梅干し
 お弁当によく入っている梅干し。抗菌作用と言えば、必ず名前が挙がります。梅干しに含まれるクエン酸(酸味成分)は強い抗菌作用があると言われています。また、食することで分泌される消化液にも抗菌作用があります。
 ただし、抗菌効果があるのは「梅干しと接している面」のみ。つまり、日の丸弁当はその部分しか抗菌効果がありません。小さく刻んで混ぜた方が、効果が見込めます。

 (2)酢
 これも、抗菌作用の代表格。酢の主成分である酢酸が強い殺菌力を持ちます。酢飯はもちろんですが、味が変わらない程度に料理に用いても効果が見込めます。

 (3)大葉
 大葉にも殺菌成分があります。あわせて、防腐作用もあるため、よく生ものの薬味として用いられています。

 (4)生姜
 生姜と言えば体を温める成分が有名ですが、辛み成分には抗菌作用や防腐作用があります。ガリと呼ばれる甘酢生姜を寿司に添えるのも、その効果を利用しています。

 いかがでしょう。
身近なところでの心がけが、食中毒予防の一歩になります。食中毒を起こさないように心がけ、これからの暑い時期もしっかり食べてくださいね。

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【合わせてこちらのコラムもチェック!】
なかなか聞けないお腹の話 (2)
暑い時期の衛生管理

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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