Interview

楽天がサプライズ指名!好遊撃手・永田 颯太郎(台湾体育運動大)は、なぜ台湾に渡ったのか?どうやって成長できたのか?

2022.10.21

 2022年プロ野球ドラフト会議が20日行われた。支配下登録選手69人が指名され、中日と広島が最多の7人を指名した。育成選手は57人が指名されたが、その中でサプライズ指名といわれたのが、楽天が育成4位で指名した永田 颯太郎内野手(台湾体育運動大)だ。

 永田は台湾の大学球界では名が知られた存在で、好守備集の動画が特集されているのを昨年末にたまたま見つけて驚いた記憶がある。日本人ということで、オンラインでインタビューをしていた。彼はどんな道のりを歩んだのか。

高校の恩師の勧めで台湾へ

楽天がサプライズ指名!好遊撃手・永田 颯太郎(台湾体育運動大)は、なぜ台湾に渡ったのか?どうやって成長できたのか? | 高校野球ドットコム
永田 颯太郎内野手(台湾体育運動大)

 愛知県東海市出身の永田は、小学校1年生から野球を始めた。上名和ライオンズでプレーし、小学校の時は中堅手だった。
「当時から足と肩の強さには自信がありました」。そして、名和中学校では、軟式でプレーし、遊撃手と投手を兼任。4番打者として活躍する。

 そして菊華に進むきっかけについてこう語る。
「僕のお父さんの兄にあたるおじさんが菊華高校に勤めておりまして、おじさんが渋谷監督さんに僕のことを紹介してもらい、進学することになりました」

 高校1年夏からベンチ入りし、当時は外野手で、3年生から遊撃手に転向するようになった。高校時代について「打撃に自信があった」と振り返るように、3番打者として活躍。最後の夏は中京大中京に敗れたが、「個人というよりチーム団体で強いと感じて、チームの力で負けてしまったなと思います」と振り返る。

 その後、永田は菊華と同じ学校法人である名古屋産業大にいったん進学したが、国立台湾体育運動大に進むためのものでもあった。

「渋谷監督から、国立台湾体育運動大への推薦をしていただきました。台湾では大学の入学が9月になりますので、僕が卒業した3月から9月まで時間がありますので、入学の間、菊華と同じ学校法人である名古屋産業大に在籍していました」

 渋谷監督は、国立台湾体育運動大の校長先生と面識があり、そこで才能のある永田を推薦したということであった。最初は悩んだが、当時の永田の状況では日本の強豪大の野球部に進むのは厳しい立場だった。そこで実際に大学の環境を目にし、台湾への留学を決める。決め手は環境面だ。

「野球のレベルも、選手たちの実力も高かったんです。そして専用グラウンドもあって、設備、環境もとても良いので、行きたいなと思いました」

 名古屋産業大での在籍は短期間だったが、「今でも関係を取り合うほど仲が良いです」と振り返る。

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無名選手が台湾で開花

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永田 颯太郎内野手(台湾体育運動大)

 台湾での環境については「台湾の大学野球は非常にレベルが高かったですし、最初は試合にも全然出られなかったです。そして言葉も文化も違いますし、慣れるのに時間がかかりました」と苦労した。それでも、言葉を交わしながら懸命に中国語を覚えていった。野球部には専用グラウンドもあって、大学内にはジムもある。野球に打ち込むには最適な環境であり、レベルアップに貪欲となった。また、台湾は冬場でも10℃を下回らず、年中、野球ができる環境もあった。

 ハイレベルな台湾の大学野球に対応するため、打撃面では、「聞く」ことから上達を目指した。

「監督は技術的な指導に口を出さず、自由にやらせてもらえるので、先輩たちに打撃面のことを教えていただきました」

 打撃のスタイルは大きく変わった。
「台湾の打撃スタイルは日本だけではなく、アメリカにも影響を受けていて、お互いの良いところを吸収している感じですね。高校時代は『上から打て』という感じでしたが、木のバットで対応できていなかったので、水平にインサイドアウトで打つことを意識してやるようになりました」

 そして大学では遊撃手の守備に専念し、いろんな選手を参考にした。一番好きなのはヤクルトの名遊撃手として活躍した宮本 慎也氏だという。

「堅実な守備が好きですね。かなり参考になっています。僕の場合、プレーの確実性を大事にしている形です」

 

 永田の好プレー集を見れば、華やかに見えがちだが、かなり基本を大事にしていた。

 大学1年の後半からレギュラーとなり、最初は2番、7番、8番だったが、2年生から3番、そして3年生から4番打者を任されるようになった。

「パワーが付いてきたのもありますね。台湾でのウエートトレーニングは専門のトレーナーの方が見てくれますので、大きく成長できていると思います」

 ウエートトレーニングの成果で5キロ増に成功。その5キロ以上に、筋力量のアップにも手応えを感じているという。

「打撃の力強さだけではなく、守備のスピードも変わりました。ウエートトレーニングの中には瞬発力を鍛えるトレーニングがあり、走り方にトレーナーさんに教えてもらったので、スピード面も上がっていると思います」

 ドラフト前からNPBから指名されることは目標でもあることを口にしていた。

「日本のプロ野球に行って活躍することなので、まだ自分の存在が届いていないのでもっと努力して日本まで届けるようにしたいと思っています」

 楽天のスカウトは永田の存在を見ていた。それが実った形となったのだろう。

 これから厳しいプロ野球がスタートする。台湾4年間で積み重ねたものを最大限に発揮し、今度は日本のスタジアムで、ファンを沸かせるプレーを見せることを誓う。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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