真颯館vs鹿児島商
エースで4番・武内が投打で活躍・真颯館
真颯館・武内未来
76季ぶりの真颯館、14季ぶりの鹿児島商、どちらも久々の九州大会に挑んだ古豪同士の開幕戦だった。
同点で迎えた2回表、真颯館は県大会から好調を維持する6番・松尾堅成(3年)がライト前ヒットで突破口を開き、野選と併殺崩れで2点を勝ち越す。3番・丸林駿太(3年)がセンター前タイムリーを放ち、4番・武内未来(3年)は初球を迷わず振り抜いてレフトスタンドに大きな放物線を描く3ラン。この回計6点を勝ち越した。
3回も先頭の6番・松尾堅がライトオーバー二塁打で口火を切り、8番・菊池壮真(2年)、2番・高市駿太(2年)のタイムリーで2点をダメ押し、点差を8点とした。
4回裏、鹿児島商は途中出場の8番・東村裕弥(3年)のレフトオーバー二塁打、1番・徳重雄太(3年)のセンター前タイムリーで2点を返したが、真颯館は直後の5回表に1番・森田拓斗(3年)、3番・丸林、4番・武内のタイムリーで3点をダメ押し。エース武内は5回までを3失点。6回以降は小前直樹(3年)がリリーフし、古豪対決を投打で圧倒した。
7年ぶりの九州大会に挑んだ鹿児島商だったがコールド負け。那波浩樹主将(3年)は「県外の厳しさが分かった」と悔しがった。
初回、エラーが絡んで先制されたが、その裏二死から粘ってチャンスを作り、5番・北園開飛(3年)のライト前タイムリーで同点に追いついた。だが2回表に野選、併殺崩れで勝ち越され、エースで4番の武内に3ランを浴び6失点。3回にも2点を失い、序盤で8点差を追いかける展開になった。
3回途中から3番手・東村が粘り、4回は三塁手・渡邉翔真(3年)の好守などで、無失点で切り抜けた。その裏、東村の二塁打、1番・徳重のセンター前タイムリーなどで2点を返し、県大会同様の粘りをみせたが、5回表にまたもエラーが絡んで3失点。反撃ムードも断ち切られた。
県大会では、ミスがあっても切り替えて次に集中したことで逆転勝ちしてきたが「うまく切り替えられず、引きずってしまった」と末増貞人監督。上のレベルで勝つチームは1つのミスをそつなく突いて勝機を引き寄せる。「追い込まれても食らいつき、初球からでも積極的に打ってくる。1つ1つのプレーに執念を感じた」と那波主将。武内の3ランは初球を思い切り振り抜かれた。4回裏は2点を返しながら、三塁を狙った走塁を相手の好守に阻まれた。夏に向けて「これから何をしていけばいいか」の「基準」ができたことが苦杯から得た収穫だった。
(文・写真=政 純一郎)