明徳義塾vs松山聖陵
不完全燃焼な「ドラフト候補対決」
高校通算31号の3ランを放った谷合 悠斗(明徳義塾)
この試合、[stadium]高知市営球場[/stadium]のネット裏スタンドにはNPBの担当スカウトが詰め掛けていた。その数実には全12球団13名。お目当てはもちろん、明徳義塾の最速146キロ右サイド・市川 悠太(3年・右投右打・184センチ74キロ・高知市立潮江中出身)と松山聖陵の最速147キロ右腕・土居 豪人(3年・右投右打・191センチ80キロ・宇和島市立城東中出身)との「ドラフト候補対決」である。
しかし……。あえて厳しいことを記せば、両者の投球内容はそんなスカウト陣の目を満足させるには程遠いものだった。市川は結果的には最速144キロを出し7回完投したものの、サイドハンドにおいて必須事項のリリース時における手首の立ち方や、左手グラブ抱え込みにもアバウトさが目立ち6四死球4失点。特に風に翻弄された初回はともかく、先頭打者の6番・眞榮城 隆広(3年主将・遊撃手・右投左打・172センチ68キロ・那覇ボーイズ<沖縄>出身)に甘いストレートを右中間三塁打され、二死後に9番・土居に右前へ落とされた6回表の4失点目は「軽率」のそしりを免れないものであった。
対して、左腕・前里 祐(3年・左投左打・171センチ74キロ・浦添ボーイズ<沖縄>出身)、根本 大蓮(2年・右投右打・188センチ松山市立港南中出身)に続き3回裏途中から登板した松山星稜・土居も然り。成長痛などもあり、センバツ後の練習試合登板が1試合のみ(4月22日・智辯和歌山<和歌山>戦・6回1失点)だったエスケープゴードはあるにせよ、ストレートは最速141キロ止まり。2度の登板で3回3分の2・計65球を投げて3安打3四死球3奪三振1失点の内容以上に、球威のあるボールが10球程度しかなかったことは、残念至極という他ない。
試合は1回裏に4番・谷合 悠斗(3年主将・左翼手・右投右打・179センチ93キロ・岡山メッツヤング<岡山>出身)の高校通算31号となる中越同点3ランを契機に、9安打13四死球で11得点を奪った明徳義塾の快勝に終わったものの、夏の愛媛大会第1シードが決定している松山聖陵、同じく高知大会第1シードが確定している明徳義塾にとって、この時期におけるエースの状態は勝敗以上に気になる材料。2人には夏の代表権を獲り、甲子園で勝ち星を重ねる意識の中でぜひ「次の進路」を選択できる結果を残してほしい。
(取材・写真=寺下 友徳)