試合レポート

作新学院vs横浜

2011.11.03

作新学院vs横浜 | 高校野球ドットコム

横浜 相馬和磨投手(3回から二番手で登板)

痛かったエースのアクシデント

作新学院横浜。かつて甲子園で春夏連覇を達成した学校同士の対戦は、1点を争う熱戦になった。

1回表、作新学院は1番石井一成の二塁打と2番鶴田剛也(ともに2年)のヒットでチャンスを作ると、3番髙山良介(2年)の犠牲フライで1点を先制。
その裏、横浜は1番宍倉和磨のヒットと2番高橋亮謙(ともに2年)が四球出ると、走者を2、3塁として4番山内達也(2年)がライト前に2点タイムリー。あっという間に逆転に成功した。

このように、激しく試合が動いた序盤。しかし2回裏、横浜の攻撃途中にアクシデントが起こった。
このイニング先頭の7番佐藤佑哉(2年)がフルカウントからの6球目をセンターに弾き返して出塁する。打順は8番ピッチャーの柳裕也(2年)。マウンドの作新学院エース・大谷樹弘(2年)が投げた初球。送りバントを仕掛けた柳の打球がファウルになった。

少し間をおいてから痛がり始めた柳。手袋を取った右手人指し指は血まみれになっていた。大谷の投げた球とバットの間に指がはさまれてのもの。すぐに治療に入るが、「指が裂けているような状況で、とても投げられる状態ではなかった」と渡辺元智監督は柳に代打を送ることを決めた。

柳の治療中、心配そうな表情の横浜ナイン。エースのアクシデントに慌て始めた。リリーフとしてグランドで準備を始めたのはライトを守る左腕の田原啓吾(2年)。
だが、攻撃が2死となってグランドに出てきたのは背番号10の同じ左腕・相馬和磨(2年)だった。
攻撃が終わり、渡辺監督がマウンドに送ったのは相馬の方だった。「相馬は少し早いと思ったが・・・」と胸中を語った指揮官。でも、夏の甲子園を経験してきた相馬に託した。


作新学院vs横浜 | 高校野球ドットコム

作新学院 髙山良介(9回にダメ押しとなる一発を放つ)

その相馬だが、立ち上がりの3回に犠牲フライで1点を失い2対2の同点となった。
エースがいなくなった横浜としては早く打線が援護したいところ。2回以降立ち直っていた大谷のピッチングに苦しんでいたが、最大のチャンスは5回に訪れた。
このイニング先頭の8番相馬がヒットで出るなどして、1死1、3塁とした横浜は、2番の高橋が打席に立つ。渡辺監督のサインはスクイズ。だが、1球目が大谷の球に負けてファウルになった。その後2球様子を見た後の4球目、またも高橋のスクイズがファウルに。そして5球目、3バントスクイズに反応した作新学院のキャッチャー山下勇斗(1年)に完全に外された。高橋は飛びついてバットに当てるのが精いっぱい。続く3番樋口龍之介(2年)が倒れて、横浜にとっての勝負所が無得点に終わった。

ゲームは同点のまま終盤8回。ここまで粘っていた相馬だが、徐々に疲れが見え始める。さらに先頭打者のゴロを処理しようとしたセカンドの樋口が痛恨のトンネル。

これを足掛かりにした作新学院の攻撃に、ついに耐えられなくなった相馬は、8番高嶋翔馬(2年)に2点タイムリー二塁打を浴びた。9回には3番髙山に2ランを浴びて4点差。

一方で攻撃では完全に焦りがみえ、先の塁を欲張って刺される場面が2度続き、ゲームは終わった。

「勝てるチャンスは何度もあったが、柳のアクシデントからベンチが焦ってしまった」と肩を落とした渡辺監督。さらに「我慢強さがあった」と甲子園ベスト4が自信になっている作新学院の強さを讃えていた。

(文=松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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