【春季大会総括】春の戦国千葉を制したのは、2年連続で専大松戸！

原嵩（専大松戸）

　2回戦で実現した松戸国際vs専大松戸の対決は事実上の決勝戦と思わせるカードだった。試合は2対1でロースコアな展開に。火花を散らせる戦いを制した専大松戸は、その勢いで県を制した。今大会は左腕の角谷幸輝が一本立ち。昨年から登板をしていたが、試合が作れる左腕という位置づけから大事なところでも投げられる左腕へ成長を遂げた。

　エース原嵩は今大会はライトに専念。打てば広角に打ち分け、守れば強肩で何点も阻止し、走れば塁間4秒30以内に駆け抜けと走攻守すべてに躍動した。高いポテンシャルを存分に生かす躍動感ある動きに、喜怒哀楽が激しいキャラクター性と千葉県では山下 斐紹（習志野-現福岡ソフトバンクホークス）以来のキャラクター性を持った逸材だろう。昨年の主力・渡辺大樹、高田拓実、河村佳祐、岡本良樹といった去年から出場している主力選手、彼らの脇を固めるレギュラーがどれだけ底上げできるかがキーポイントとなったが、この6試合を戦ったことで、大きく成長を遂げたといえる。あとは原とともに注目される渡辺の大爆発を待つのみ。活躍する土台を築くためにも関東大会は重要な戦いとなる。

　沼南は代表決定戦で柏日体を破ったことで、一気に勢いに乗ったといえる。千葉英和戦（試合レポート）で満塁本塁打が飛び出るなど、打力が高いチーム。準決勝の市立松戸にはコールドで破るなど、勢いに乗った時の攻撃力が見事。柏地区の強豪公立として名をはせてきた沼南だが、関東大会出場を決めたことでさらに機運を高めている。

　ベスト4入りした市立松戸は試合運びが非常に上手く、2回戦の木更津総合（試合レポート）、準々決勝の市立銚子（試合レポート）に逆転勝ちしたように、ビハインドでも取り返せる粘りが魅力。また千葉敬愛も、秋ベスト8、春もベスト4に入ったように突出した選手はいないが、勝負の展開を読んで試合運びができるところが良い。激戦区の千葉を勝ち抜くには、取りこぼしをせず、少ないチャンスをモノにできるチームではないと勝ち抜けないと感じさせる大会であった。

　ベスト8に残った学校の中では、拓大紅陵が粘り強さ、力強さを兼ね備えた好チームへ成長。打者では樫森恒太、本多正典を中心に、破壊力があり、粘り強い打線で作り上げ、投手陣では鈴木寿希也だけではなく、小笠原健介、境など登板した投手がそれぞれ好投を見せ、継投をしながらゲームメイクできることを証明した。準々決勝では優勝した専大松戸にタイブレークの接戦を演じるなど、夏につながる戦いを見せただけに要注目だ。

守備力が高い柏南、エース海野大悟を中心に勝ち上がった市立銚子、また4番高橋海飛を中心につなぎの野球を見せる千葉明徳も、健闘を見せた。

内山 京祐 （習志野）

　ベスト16以下では、習志野、松戸国際、木更津総合がやはり抜けている。習志野は、昨秋のエース・尾形 康平、スラッガー・石田晃太郎と2人の主力メンバーがベンチ外という苦しい事態となったが、それでも、好選手が続々と出てくるようにこのチームの層の厚さはやはり千葉県でもトップクラス。柏南戦（試合レポート）で2本塁打を放った内山京祐、常時130キロ前半の速球、キレのあるスライダーをコントロール良く投げ分ける土井大輝、身体能力が高く、攻守でアグレッシブなプレーが光る松井和輝など活躍を見せた選手が多かった。守備のレベルも、他校と比べるとワンランクレベルが高い。

　他ではきめ細かな守備力と走塁をウリにする市立船橋、好投手・岩田裕生、剛腕・宮城正規擁する我孫子東、2回戦で敗退した木更津総合は、打線の状態を夏へ向けてピークに持っていくことができるか。もともと夏へ向けて状態を高めていくチームで、今年は例年以上の投手力を誇るだけに、やはり優勝候補に挙がるチームに挙がっていくことは間違いない。

　松戸国際はエース植谷翔磨の完成度、試合運びのうまさ、つながったときの打線の破壊力は県内でもトップクラス。そう簡単に打ち崩せる投手ではなく、このチームがノーシードから始まるのは、どの強豪校も恐れていることだろう。多古は強打で存在感を示し、初戦敗退したが、2年生右腕・島 考明が存在感を見せた東海大望洋も夏へ向けて整理してくるだろう。

　この夏はノーシードに強豪校が多数存在しており、夏のシードが序盤で相次いで敗れることを想定するべきかもしれない。今年は過去数年ではかなり熾烈な戦いが待ち受けていることは間違いないだろう。夏の組み合わせが今から楽しみである。

（文＝河嶋 宗一）