試合レポート

東海大菅生vs八王子

2021.04.17

スキなし東海大菅生 そつなく加点して八王子に完勝

東海大菅生vs八王子 | 高校野球ドットコム
東海大菅生・鈴木 泰成投手

 雨が降る中で行われた準々決勝最初の試合。八王子の先発投手が注目されたが、エースの羽田慎之介ではなく、背番号10の星野 翔太だった。安藤 徳明監督は、羽田を先発させるつもりで、水曜日には本人に伝えていた。「4、50球投げさせる予定でした。後ろだと球数が読めないから、頭から行くつもりでした」と安藤監督。しかし雨が降り、試合がいつ中止になってもおかしくない状況。途中で中止になって、明後日再試合の可能性もあったので、無理をさせず星野が先発した。

 東海大菅生は左腕の櫻井 海理が先発した。ただ、三塁手の小池 祐吏は右足捻挫のため欠場。代わりに山田聖和が、三塁手を務めた。中軸を打つ選手の欠場は、普通のチームなら痛手になるが、代わりに入った山田も実力、実績とも十分。このあたりの層の厚さにも東海大菅生の強さが表れている。

 八王子の2年生・星野は、一冬超えて球威が増し、140キロ前後の速球を投げ込み、1、2回は東海大菅生に得点を与えない。

 東海大菅生でこの試合活躍したのは、打撃不振で打順が8番に下がった福原 聖矢だった。3回裏東海大菅生は、この回先頭の福原が左前安打で出塁。1番・榮塁唯の一ゴロで二塁に進み、2番の小山 凌暉の中前安打で俊足の福原が生還した。続く3番・千田光一郎のレフト線近くの二塁打で二、三塁となり、ワイルドピッチで小山も生還した。

 雨が降りしきる中、東海大菅生の櫻井は、緩急をつけた丁寧な投球で、走者を出しても得点は与えない。

 5回裏東海大菅生は、この回先頭の1番・榮が四球で出塁したところで、八王子は投手を左腕の舘野 智靖に交代する。東海大菅生は3番・千田、4番・堀町 沖永と安打が続き、1点を追加する。

 八王子は6回裏からマウンドには右腕の渡邉 凜之介が上がる。この回東海大菅生は一死後、8番・福原が中前安打で出塁すると、すかさず二盗。この時ワイルドピッチも重なり、福原は一気に三塁に進んだ。ここで東海大菅生は9番打者で先発投手の櫻井に代打・岩井 大和を送る。岩井はしっかり犠牲フライを打ち、1点を追加。派手さはないが、こうした無駄のない点の取り方で相手を追い詰める。

 7回裏も小山の左前安打に八王子の守備のミスも重なり、1点を追加した。

 東海大菅生は、7回からはすっかり投手陣の柱の風格が出てきた鈴木 泰成が登板。鈴木 泰成は140キロを超える速球にキレの鋭い変化球を織り交ぜて、3回を被安打2、奪三振7の無失点。全く危なげなく、試合を締めくくった。

 敗れた八王子は、秋に比べ、明らかに力はつけてきたが、この試合では守備のミスが失点につながったのは、痛かった。八王子の安藤監督は、「力のあるチームにミスをしたら勝てません」と語った。また夏に向けて、「もう少し打てないと」と、打線の強化を課題に挙げた。

 勝った東海大菅生は準決勝で、関東一と国学院久我山の試合の勝者と対戦する。関東一は昨秋苦戦したし、国学院久我山には2年前の夏に敗れている。若林 弘泰監督は、警戒の気持ちを込めて「どちらも嫌な相手です」と語る。昨年来、東京では負けなしの東海大菅生。戦いぶりが盤石でスキがないが、準決勝はどちらが勝ち上がっても、要警戒のチームであることは確かで、楽しみな一戦になりそうだ。

(記事:大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.05.23

春季関東大会でデビューしたスーパー1年生一覧!名将絶賛の専大松戸の強打者、侍ジャパンU-15代表右腕など14人がベンチ入り!

2024.05.22

【秋田】明桜と横手清陵がコールド勝ちで4強入り<春季大会>

2024.05.22

【愛知・全三河大会】昨秋東海大会出場もノーシードの豊橋中央が決勝進出、147キロ右腕・内山など投手陣に手応え!名指導者率いる三好も期待の 1、2年生が出場

2024.05.22

【宮城】仙台育英は逆転勝ち、聖和学園が接戦を制して4強入り<春季県大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.04.23

床反力を理解しよう【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?