Column

都立淵江高等学校(東京)

2017.06.08

ベスト8から見えてきた差

■都立淵江はどんな学校?
 1971年に開校した都立淵江高校。体育系では17、文化系では16という豊富な数の部活動がある。野球部は昨秋、1次予選を勝ち抜き、都大会出場を果たした。そんな野球部、茶川 剛史監督が就任した時には部員数は9人しかいなかったそうだ。現在は3学年合計33人で活動している都立淵江野球部。「まだまだこれからのチームですね」と茶川監督は話してくれた。

■都立ナンバー1を目指して
 都立淵江のグラウンドは広く、全面で使える日は23区内ではなかなかできない、フリーバッティングを行えるような環境で練習を積む。このチームのウリは「明るさ」だ。廣瀬 直希主将は「落ち込んでいるときでも必ず誰かが声を出しています」と話すように、練習もにぎやかだ。茶川監督も明るさについては「明るさが試合で発揮されるときは連打がでたり、セーフティバントが決まったりと気持ちが前に乗っているのがよくわかります」


集合写真(都立淵江)

■刺激になった強豪校との戦い
 
昨秋は都大会出場を果たすが城西大城西にコールド負け。今春も日大豊山と戦い5回コールド、ノーヒットノーランされてしまった。「この子たちは経験が少ないです。都大会では浮足立っていました」と茶川監督。強豪校と言われるようなチームと対戦すると、試合前に気持ちで引いてしまうことが多い。だが、強豪校と試合ができたことは選手の刺激になっている。廣瀬主将は「日大豊山はバッティングがすごくて、自分たちの刺激になりました。また頑張ろうとみんなで意気込みました」と語るように、チームは前向きに敗戦をとらえることができる。これもこのチームの良さだろう。
新チームになってからは福島遠征にも行った。この遠征では野球面でも生活面でもいろんなことを学んで帰ってきた。私生活でも明るい選手たち。学校でも怒られることが多々あったが、「3年生は私生活から怒られることがなくなりましたね。メンタル的なところも成長していると思います」と茶川監督。着実に課題はクリアしてきている。

■この選手の活躍に期待!
 このチームで注目なのが中島 ジョナサンだ。もともとは左バッターだったが、昨秋はけがの影響で右バッターになった。廣瀬主将は「もとは左なのに右でも長打を打ってくれるような、頼りになるバッターです」と信頼を置いているセンス抜群の選手だ。
夏のキーマンは3年生全員。その中でも竹下 和生黒川 聖斗中島 ジョナサン篠原 大地宮川 陸玖がキーマンになると廣瀬主将は教えてくれた。そのうちの一人、篠原はチームの和を和ませてくれる存在。最後の夏はバッティングでも貢献してくれるはずだ。

■去年の借りを返す
 夏に向けて練習試合や練習が少なくなってくる3年の夏。「練習も試合だと思ってやっています」と廣瀬主将。練習試合では内容も大事だが、結果にもこだわりを持ってやっている。気が抜けていたら主将自ら声を出し、チームを鼓舞する声掛けをしていく。茶川監督も「ピンチでの声掛けや鼓舞する言葉、あとは周りの雰囲気をつかむのがうまいです。バッティングでもほしいところで打ってくれる、チームの大黒柱です」と話すように、キャプテンシーが備わっている。
廣瀬主将は最後の夏に向け、「今までお世話になった方々に恩を返せるように、また去年の借りを借りを返すと先輩に誓ったので、自分達が目標にしているベスト16以上、都立ナンバー1を目指して頑張っていきたいです」と誓った。

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[page_break:ベスト32を超える]

左から黒川 聖斗、廣瀬 直希、竹下 和生(都立淵江)

ベスト32を超える

ここからは黒川 聖斗選手(3年)と竹下 和生選手(3年)にお話を伺いました。

Q.夏に向けて見つかった課題を教えてください

黒川:強豪校とやって感じたのは低めの制球力です。
竹下:制球力です。

Q.ここまで振り返って高校野球で一番思い出に残っていることは何ですか?

黒川:今の3年生が一人も辞めずにここまでこれたことです。
竹下:練習試合で早稲田実業に勝ったことです。嬉しかったです!

Q. 夏にここを見てほしいというところは何ですか?

黒川:どんな相手でも粘り強く、思いっきり野球をするところです。
竹下:持ち味の強気のピッチングを見てほしいです。

Q.このチームの好きなところと、他のチームに負けていないところは?

黒川:学年関係なく全員が明るいところ、試合中の元気は負けません。
竹下:部員同士の仲が良いことです。叱咤激励し合うところは負けないと思います。

Q. この夏はこんな夏にする!という意気込みをお願いします!

黒川:今年は2年前の先輩のベスト32を越せるように、投打で貢献して勝ちたいと思います!
竹下:今までの夏の最高がベスト32なので、それを超えたいです!

黒川選手・竹下選手、ありがとうございました!

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[page_break:有終の美を飾ろう!]

股関節のトレーニングの様子(都立淵江)

有終の美を飾ろう!

  ここからは茶川 剛史監督にお話を伺いました。

Q. 新チームが始まってからどんなチームを作り上げてきましたか?またこのチームの強みも教えてください。

 いいプレーが出たときは褒めて、悪いプレーが出たときは叱り合い、チームに一体感を持たせることと勢いを持たせることをやってきました。調子良くどんどん責め立てるような明るいチームにしようということを新チームが始まってから話しました。
このチームの強みは明るさです。元気が取り柄という選手が何人もいますので、その良さをなんとか引き出したいなと思ってやっています。

Q. 秋、春を戦って見つけた課題を教えてください。

 強い相手と戦うときに、所々では守れるようになってきています。ただ戦う前に気持ちで引いてしまうところがあるので、臆することなく戦うことが課題だと思います。

Q. 夏に向けて3年生と部員たちにメッセージをお願いします!

 3年生は高校野球の集大成。本当に悔いなく有終の美を飾れるように、一分一秒必死になって練習に取り組んでほしいなと思います。最後は笑顔で終われるようにしたいですね!

茶川監督、そして都立淵江野球部の皆様、ありがとうございました!持ち前の明るさで淵江史上最高の夏にすることを期待しています!


今年も大好評!
僕らの熱い夏 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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