試合レポート

健大高崎vs白樺学園

2019.11.19

山畑のワンバウンド打ちの執念の決勝打で健大高崎、決勝進出

健大高崎vs白樺学園 | 高校野球ドットコム
健大高崎エース・下 慎之介の完投勝利で決勝進出を決める

 2試合連続でタイブレークを制した健大高崎が、勝負強さをみせて白樺学園を破り決勝進出を決めた。

 朝方雨が降り、試合開始の午前8時半ごろは薄暗く、照明塔が点灯する中で始まった。しかし試合が始まるにつれて、雨を止んで明るくなり、照明の灯はすぐに消えた。

 白樺学園は背番号10、横手投げの坂本武紗士が先発。健大高崎はエースの左腕・下慎之介が先発した。

 2回裏白樺学園は5番・二ツ森学と8番・坂本武の左前安打と打撃妨害で一死満塁としたが、9番・佐々木大成は投ゴロ。1-2-3の併殺になり、チャンスを生かせない。

 一方白樺学園の坂本武は、緩急をつけた丁寧な投球で、序盤3回を安打1本に抑える快調な立ち上がり。4回表はこの回先頭の戸澤昂平が内野安打で出塁したが、二盗は失敗した。健大高崎といえども、盗塁の失敗は多い。それでも青柳博文監督は、「トータルの勝負。1試合の流れの中でそれが生きます」と語り、失敗は意に介さない。戸澤は二盗に失敗したものの、3番・小澤周平はライト線の二塁打を放ち、5番・木川玲はライトスタンドに入る2ランを放って健大高崎が2点を先制した。

 しかし6回裏白樺学園は、この回先頭の3番・宮浦柚季がレフトスタンド中段に飛び込む本塁打を放ち、1点を返す。さらに4番・片山楽生の左前安打と2四死球で二死満塁となり、9番、途中出場の玉置健士郎は下の落ちる球に三振。けれども捕手がダイレクトで捕球できなかったため、玉置は一塁に走り捕手も一塁に送球したが、走者に当たり三塁走者は生還した。満塁なので捕手はホームにタッチすればアウトだったので、無駄な得点を与えことになる。それでも、下が失点したのはこの回だけ。白樺学園は残塁を15もしており、走者を出しながらも踏ん張る下の粘りは光った。

 白樺学園の戸出直樹監督は下について、「変化球がボールになっても腕を振ってくる。勝負どころで腕を振れるのがすごいなと思います」と語る。

 白樺学園は6回表から一塁を守っていたエースの片山をマウンドに送り、勝負に出る。7回表健大高崎は、この回先頭の6番・橋本脩生がライトフェンスに当たる、あわや本塁打かという三塁打を放つ。しかし後続の2人はあっさりアウトになる。スクイズも考えられたが、前日の試合で失敗があったことで踏み切れない。チャンスは生かせなかったかに思えたが、9番・山畑陸の痛烈な打球は、レフトに達する勝ち越し打になった。山畑はワンバウンドする投球を打っており、執念で打った勝ち越し打だ。

 なお8回表、二塁打を打った2番・戸澤は、3番・小澤の右飛で三塁に進んだが、4番・山本遼哉は三振に倒れ、チェンジとなったが、実は山本の2ボール2ストライクからの5球目、戸澤は本盗をしている。5球目はストライクで三振になり、記録には残らないが、ボールだったら本盗は成功していたかもしれない。

 白樺学園は8回、9回と走者を出し、同点に追いついて、またもタイブレークかという場面もあったが、健大高崎の下が踏ん張った。結局下は155球を投げたが、青柳監督は、「今日は完投させようと思っていました」と語っており、代わりつもりはなかったようだ。

 中1日で迎える決勝戦。健大高崎は、エースの下をどう使うか、それとも使わないのかも含め、投手の起用とその出来が、優勝の行方を左右しそうだ。

 一方白樺学園は、昨年の札幌大谷に続く北海道勢の連覇はならなかったが、鍛えられた守りで、締まった試合をした。厳しい寒さを乗り越え、たくましい姿を甲子園でみせるに違いない。

(文=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得