11月14日、埼玉県は県民の日で、学校が休みとなることを利用して、第27回彩の国野球フェスティバルが県営大宮球場で開催された。

 毎年、埼玉県民の日に開催されていたが、新型コロナウイルスの影響で2019年以来となる開催となった。浦和学院など夏の埼玉大会でベスト8まで勝ち上がった学校の選手総勢32名と指導者が先生役となり、東西南北の各地区から集まった中学球児200名近くに技術指導を行った。

 埼玉県内の野球技術向上はもちろんだが、野球人口減少を受けて、高校野球へのきっかけにしてもらうことを目的に始まったイベントだが、埼玉県高等学校野球連盟の神谷 進専務理事によると、「中学の先生に聞くと、現在、中学球児の高校への野球継続率が5、6割程度になっているそうです」と、野球人口増加のためにも、イベントに対する思いや、開催の意義は年々大きくなっている。

 今回の企画の中心を担った川越工の荒木監督も、技術向上や野球人口をテーマにするのはもちろんだが、「今回は指導者の向上もできればと思っていた」と、選手のみならず、指導する先生のレベルアップや意見交換の場にする狙いもあった。

 イベントは、バッティングやノックはもちろん、トレーニングなどの基礎メニューに加え、監督たちによる講演など、1メニュー50分で実施。学校の授業さながらのタイムスケジュールで進んだ。

 イベント中は、高校球児たちが後輩たちに向けて、技術指導を積極的に行う姿が見受けられた。投手であれば変化球の握り方、野手であれば守備の構え方や打撃フォームなど、高校野球3年間で培った技術論を余すことなく伝えていた。

 高校球児と中学野球の指導者が技術論を語り合う姿もあり、中学の先生からは「(高校生の立ち振る舞いは)素晴らしいと思います」という声や、「1つ1つの所作がすごいと思います」という声も挙がるなど、連盟の思惑通りのイベントの様相を見せていた。

 今回参加した武南のエースだった最速145キロ右腕・石橋 凪仁投手は「自分たちが教えられることには限界がありますし、伝えることしかできませんが、今日のアドバイスは参考にしてもらって、自分なりに理解して成長してほしいです」とメッセージを送った。

 また、2019年の時には中学球児として参加し、今回は先生役として戻ってきた西武台青山 廣大内野手は「少し懐かしく思いました」と振り返りながら、今回のイベントは自身にとっても大きな経験になったようだ。

 「中学生なので難しいことはあまり教えるのではなく、まずは基礎、基本を伝えること。そして『野球は楽しいぞ』ということを伝えようと思っていました。何かを教える経験はなかなかできないので、これからに生かせると思います」

 中学生はもちろん、高校生にとっても得られるものが多かった彩の国野球フェスティバル。「大成功です、こういうのはやるべきですね」と荒木監督が話した通り、3年ぶりの実施で、球場には終始笑顔があふれ、充実した表情が何度も見られた。

 この笑顔を長く未来へ続けるためにも、彩の国野球フェスティバルは埼玉県の野球界を支える大事なイベントとして位置づけられていくに違いない。