News

甲子園19回出場の伝統校・倉敷工は言葉の力と日誌で心を繋ぐ

2020.05.10

甲子園19回出場の伝統校・倉敷工は言葉の力と日誌で心を繋ぐ | 高校野球ドットコム
写真は2019年から

 活動自粛を受けてグラウンドで練習ができず、選手と指導者との距離ができてしまった。しかし心の距離だけでも詰めようと、LINEなどを活用するチームが増えてきた。春夏合わせて計19回甲子園出場の倉敷工もLINEを活用している。

 前々からミーティングの内容を言葉だけではなく、文字としても残すことで振り返られるようにしていた。また指導者から選手たちへの連絡事項を伝えるためにもLINEを使っていたが、今回の事態を受けて使い方に変化が出てきた。

 「そもそも3月20日から4月7日までは自粛があって、4月中は1週間くらいは練習をしていました。ただ4月20日から5月末まで自粛となりまして、朝と夜にLINEを使うようになりました」

 そう答えるのは、チームをまとめる髙田康隆監督。まず朝は「言葉の力」と呼ばれる、選手たちのモチベーションアップに繋がる言葉を選手たちに向けてメッセージを送る。

 そして夜になれば、「7days」と呼ばれる、心技体の3要素それぞれで立てた1週間の目標を達成できているのか。その評価をしながら、1日の振り返りを3行にまとめる「3行日誌」をまとめて23時までに高田監督までに写真を撮って提出する。

 チームとしてメンタルトレーニングとして3年前から取り入れ、さらに進化させたものが現在の形である。それを自粛期間中も継続しており、並行して選手間で決めたトレーニングメニューに取り組みながら活動再開を待っている。

 グラウンドで練習できない日々が続くが、LINE上でのやり取りを通じて選手たちの成長を感じている。
 「今年は『本物の進化』と言うのをテーマにしておりまして、選手たちはいい意味でピンチをチャンスに変えようと、テーマに沿ってよくやってくれています。文面だけですが、LINEにて7daysと日誌のやりとりを毎日する中で成長を痛感しています」

 日々小さな目標を立て続けて達成していくことで、確実に大きな目標に近づく。そのプロセスが倉敷工にとっては、今回の自粛期間となっている。高田監督は「個人のスキルもですが、考える力も間違いなく伸びています。今までとは何かが違い、力がついてきたと思います」と手ごたえを感じている。

 ただ、「焦りとか大会までのことを逆算するとどうなるのか」と言う一抹の不安は髙田監督の中にある。また3年生の進路に関しても、少しずつ気になってきているとのこと。それでも「選手たちが帰ってきたときに思い切って練習できるように準備したいです」と整備をして待っている状況。

 今の取り組みが練習に繋がることを信じて再開を待つ倉敷工。それが確信に変わる日が一刻でも早く来ることを祈るしかない。

(取材=田中 裕毅

関連記事
浸透するZoom、LINEの活用。最新IT、SNSを活用するチーム一覧!
【動画】坂本勇人ら強打者を育て上げる伝道師・金沢 成奉監督。強打の神髄は『ラインバッティング』にあり
メッセージ動画で繋ぐ心のリレー。全員が一丸となって、萩商工は難局を乗り越える

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【大阪】大阪桐蔭が快勝!準々決勝でプロ注目・今坂幸暉擁する大阪学院大高と対戦!<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.05.06

【富山】富山商が高岡商を破って春連覇達成<春季県大会>

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.01

【兵庫】報徳学園、須磨翔風などが順当に夏の第1シード獲得!昨秋ベスト4の長田、滝川二はノーシードに

2024.05.01

【福島】聖光学院と福島商が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>