試合レポート

横浜vs明秀学園日立

2018.05.20

横浜、完封目前から内海の逆転2ラン!好投手・細川を攻略し、意義ある1勝

横浜vs明秀学園日立 | 高校野球ドットコム
好投を見せる細川拓哉(
明秀日立)

 選抜2勝の明秀学園日立(茨城2位)と、横浜(神奈川1位)。ともにタレント揃いのチームということもあり、[stadium]千葉県野球場[/stadium]の内野席はほぼ満員。試合は横浜板川佳矢(3年)、明秀学園日立の細川拓哉(3年)と両エース同士の投げあいとなった。

 細川は選抜を経験して安定感がだいぶ増した。テークバックを大きく取ってから投げ込むストレートは常時138キロ~142キロを計測。1イニングに10球前後は140キロ台を計測しており、速球の威力は本物だ。速球だけでなく、コントロールも安定。外角球へのコマンド能力が非常に高く、県大会で強打を発揮してきた横浜打線はなかなか捉えることができない。

 変化球の切れ味も鋭く、125キロ前後のスライダー、フォークも低めに決まっていく。細川は左打者のひざ元にフォークを投げられるのも大きな強み。ピッチングにスキがなかった。

 先制したのは明秀学園日立。3回裏、7番細川がストレートを捉え、レフトが一歩も動けない場外本塁打を放ち、1点を先制。

 だが板川も細川に本塁打を打たれた以外はほぼ完ぺきなピッチング。4月と比べて気温も上がった影響か、体全体の動き、腕の振りが素晴らしく、常時135キロ(最速140キロ)前後でも球速表示以上に勢いを感じさせ、両サイドへ厳しく決まっていく。120キロ前後のスライダーも低めに集まり、テンポも速く、考える暇を与えない。強打の明秀日立打線は沈黙し、細川の本塁打以降、なかなか安打が出ない。6回裏、1番明秀日立増田陸の場面で自己最速の140キロを計測。ついに板川も140キロの大台に達したのである。

 横浜は走者を出すものの、細川の粘り強い投球の前にあと1本が出なかった。試合は1対0と明秀日立がリードのまま9回表を迎えた。


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本塁打に喜ぶ内海貴斗(横浜)

 9回表、ついに横浜打線が火を噴く。先頭の横浜齋藤大輝が右中間を破る三塁打を放つと、代打・万波中正(3年)は空振り三振に倒れたが、5番内海貴斗(2年)がストレートを捉え、バックスクリーン横に飛び込む逆転2ランを放った。内海は県大会から長打を連発する左の大型スラッガー。足を上げたとき、ヘッドを投手側に大きく傾けてからフルスイングを見せる選手。アクションが大きく、差し込まれやすい打法ではあるのだが、内海にとって動作に遊びができて打ちやすいのだろう。まさに起死回生の本塁打で試合をひっくり返した。

 これで勢いづいた横浜打線は、敵失で1点を追加し、二死から1番小泉龍之介(2年)がレフトへ3ラン本塁打を放ち、6対1と突き放した。

 そして板川が3安打、1失点完投勝利で準々決勝進出を決めた。

 横浜は神奈川大会では決勝戦以外でコールド勝ちを決めているが、細川のような全国レベルの投手との対戦経験がなく、そういう投手からどれだけ打てるかが課題だった。このまま敗れれば、夏までの課題となっていたが、土壇場の9回にひっくり返したところは夏へ向けて大きな1勝だった。

 敗れた明秀日立は、細川を援護しきれなかった。細川の8回までのピッチングは十分にどの全国レベルの強豪校にも通用するものがあっただけに、気を落とすことなく夏に向かってほしい。打線がこれほど苦しんだのは、茨城県で板川ほどテクニックとストレートの切れを兼ね備えた投手との対戦経験はなかったことが影響しているだろう。この経験をしっかりと夏に生かしてほしい。

(文・写真=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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