【目次】
2011年、プロ初勝利達成!
強豪・花巻東で学んだこと
『凡事徹底』の日々
花巻東のカバーリング力の秘訣
レベルアップのための意識
レベルアップのための意識

"直感っていうのが最終的には大事"
――これから1軍で定着するには何が大事ですか?
「雄」 やっぱり、直感を信じることです。今は順調に来ていますけど、1軍にいくなり、ファームに行くなりすると、壁にぶち当たる時がくる。そこで、他者とか、周りに応えを求めずに、これだと思ったトレーニングをやったり、これだと思ったフォームを続けるっていう、直感っていうのが最終的には大事かな、と。勉強も大事ですけど。
――勉強しすぎたのかもしれないね?
「雄」 あったかもしれません。でも、それは良いことだと思います。最終的にたどり着いたのは、直感で、自分を信じろってことだ、と。相反しますけど。それって、勉強したから分かったことで、嗅覚というか、やれ!って言われても直感で分かるようになった。それが生きている。
――菊池投手のフォームと言えば、軸足一本で立った時の美しさがあります。
「雄」 意識してますね、大事にしてます。足を上げた時に、はまっちゃえば、ぱちって収まる感覚がある。逆に、ふにゃ~っていっちゃうと駄目。 枠の中で投げているという感じで、体重移動をして正面向いて投げるだけでいい。
――高校生に、メッセージをお願いします
「雄」 高校野球って、プロ野球も含めて、いろんなスポーツがありますけど、どのスポーツよりも価値があるというか、奇跡のようなスポーツだと思うんですね。、ルールを知らないおじいちゃんやおばあちゃんが応援に来るスポーツって高校野球だけだと思うんです。ルールが分からないで見ようって思わないじゃないですか?頑張っている姿を見るために、応援に来てる、涙を流している。高校野球だけだと思う。
そういうスポーツをやれている。やれている喜びを感じながらやってほしいですね。早く引退したいなと思う選手もいるかもしれませんけど、絶対、1年後に、卒業したらやりたいと思うから。高校3年、期間限定のスポーツなので、そこに、本気になってやって欲しいですね。
――高校の時はメディアが大変だったでしょ(笑)?
「雄」 選抜の1回戦が終わった途端に、1面で出ていた。こんなに変わるんだなって。1試合で150キロを出しただけで、こんなに景色が変わるんだって思いました。それまでは、岩手県の記者の方々が2、3人いるだけで、試合を迎えたのに、終わってみれば、ああーって。
――メディアも含めて、メーカーも含めて?
「雄」 そうですね。メーカーさんも(笑)

"これしか着たくないって感じですね"
――ウェアーは今、どうしているのですか?
「雄」 ONYONEを着させてもらっているんですけど、なんか、こう、ONYONEのウェアーは来ていて落ち着きます。ストレスになんないんです。気持ちが良い。
――いつから、このメーカーを着ていたんですか?
「雄」 高校の2年生ぐらいですねプロ入り後は、1年目は二つ使っていて、今はこれしかない。ストレスがない。これしか着たくないって感じですね。それこそ、直感ですね。
――最初に来た時の感覚は?
「雄」 営業の方に、『これ、着てみて?』って言われて着たんですけど、これ、ヤバいっすね!動きやすい、みたいな感じです。
――最後に東日本大震災について、被災地のことを知る菊池投手の想いはありますか?
「雄」 知り合いの方が亡くなったり、両親が亡くなったり、津波で家を流されたという同級生がいる。震災の時、僕はすぐに駆け付けたかったんですね。『すぐに行きます』って新幹線に乗るにつもりで、荷物もまとめて……。
でも、『今から行くから』って連絡したら、『こなくていいよ!』って言われた。OP戦をやっている時で、自分、抑えていたんですね。『新聞で無失点っていうのが伝わっている。それを見て、岩手は盛り上がってる、被災地の方も盛り上がっているよ。だから、お前はこなくていいよ、野球をやっとけ』って言われたんです。今、岩手は盛り上がっているんだから、投げる姿を見せてくれ、と。
自分、『本分』っていう言葉が好きなんです。自分が何をしなくちゃいけないっていう『本分』を考えた時に、やっぱり野球で、野球しかない。被災地に行くことも大事かもしれないですけど、野球で結果を出して、胸をはって、シーズンが終わった時に、11月か12月に、野球教室を沿岸でできたらな、と。結果を出して、胸を張って、野球教室を開く。それが今の夢です。
(文・インタビュー:氏原 英明)