第75回 横浜ベイスターズ 筒香嘉智選手2011年08月05日


 GWの谷間、横須賀にあるベイスターズ球場では横浜のファームと社会人野球チームによる交流戦が行われていた。「4番・サード」でスタメン出場していた横浜・筒香嘉智は犠牲フライを放つなど、バッターボックスで独特の風格を見せていた。守る方でも、三塁線への強烈な打球をダイビングでキャッチし、落ちついて処理して見せた。本来ならここにいるべき選手ではないが、筒香は焦ることなく、ファームで研鑽の日々を積んでいる。

「まだ練習があるんで、少し待ってもらうことになりますけど、時間大丈夫ですか?」 

 筒香が試合を終えて、挨拶にやってきた。こちら側としては取材に来たわけだから、彼を待つ時間など惜しくないのだが、取材者を気遣う心遣いは非常に気持ちのいいものである。そんな言葉をスっと言えるのが筒香という男である。

 筒香と初めて会話を交わしたのは、彼がプロ入りを決めた09年冬のことである。中学時代を過ごした堺ビッグボーイズの南花台グラウンドで、当時の彼はこういったものである。

「みんなと同じということはないですから。特長やフォームは、それぞれある」

 高校通算68本塁打を放ち、『ハマのゴジラ』と称された。ホームランアーチストであることだけで、常に比較されることが多かった筒香だが、そんな中にあっても、自分の中にある軸を崩さなかったのである。

 さらに、その言葉は10年オフ、さらなる深みを増す。「ハマのゴジラ」として「55」を身に着けていた筒香の背番号が「8」へと変わったのである。いってみれば、「ゴジラ」の愛称を捨てたというわけだ。1年前に彼の意思を確認していたものからすると、いかにも彼らしいと感じる一幕だが、並大抵の男では果たせない。世間の評判に迎合し、そこに流されない芯の強さが彼にはあるのだ。

 彼自身がどのような野球人生を歩み、今を確立してきたのか。話は名門・横浜高時代をさらに遡り、中学時代の道筋から振り返ってもらった。

【目次】
■将来にむけた土台作り
■長打力をつくりあげたトレーニング
■名門・横浜高校で学んだ休養の必要性
■高いパフォーマンスを維持するために