目次

[1]夏甲子園の大きな財産
[2]主将としての決意

 今夏の甲子園では2年生ながら投打の柱として活躍し、近江の20年ぶり4強入りに大きく貢献した山田 陽翔。新チームでは主将となり、2季連続の甲子園を目指している。夏の悔しさを胸に大きな夢実現への道は始まった。


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夏4強近江 主将就任の山田陽翔が味わった天国と地獄【前編】

夏甲子園の大きな財産


立命館守山と決勝で当たるのはどこか運命を感じますし、しっかりと借りを返せて甲子園を決められたので、3年生に恩返しができたのかなと思います」と甲子園を決めた時のことを振り返ってくれた山田。2年生にして初めて聖地の土を踏むことが実現した。

 1回戦の日大東北戦は5回途中で降雨ノーゲームとなったが、再試合で8対2の完勝。2回戦で優勝候補の大阪桐蔭と対戦することになった。

 意気揚々と先発マウンドに上がった山田だが、2回までに4失点。「一方的なゲームになるのかな」と多賀 章仁監督を心配させた。しかし、3回から本来の投球を取り戻し、6回までの4イニングを無失点に抑えた。

 ターニングポイントは3回表、この回先頭の4番・花田 旭(3年)が放った遊撃後方のフライを遊撃手の横田 悟(1年)がスライディングをしながら好捕した場面だったと回想する。

「横田がファインプレーで捕ったところから近江の野球、守備からリズムを作って攻撃に野球に繋げるというのができてきたのかなと思います。他にも島瀧(悠真・3年)さんが盗塁を刺して下さったのが2個あったりもしたので、こっちに流れが来ているのは感じていました」

 守備から自分たちの野球を取り戻したことで、攻撃も流れが生まれ、劇的な逆転劇を呼び込んだ。「僕が初回、2回に失点してしまった中で3年生が何とか逆転して下さって、あの試合は勝たせてもらった試合なので、少しくるものがありました」と試合後に涙を流す姿も印象的だった。

 大阪桐蔭を下したことで近江も山田自身も勢いに乗った。準々決勝の神戸国際大附戦では同学年の好投手・楠本 晴紀からバックスクリーンに甲子園初本塁打を放つ。その直前に二塁走者の津田 基(2年)が相手のバッテリーミスで三塁に進んだことが大きかったと山田は話す。

「あそこで津田が攻めた走塁を見せて、『お前ももっと攻めていけよ』というのを津田から言われたような気がしたので、追い込まれていましたが、強く振っていくことを意識しました。ストレートが来るのは予想していたので、しっかり前で捉えたら外野は超えるだろうと思っていたので、読みが当たって、捉えることができて良かったです」

 津田が三塁に進んだことで、変化球が投げにくくなり、ストレートに的を絞りやすくなったことが、本塁打に繋がったという。投手だけでなく、打者としても超高校級であることを印象づける一発だった。

 近江は1回戦最後の登場と日程が一番タイトな組み合わせだった。全試合で先発した山田の疲労も心配されたが、「甲子園でできることが楽しくて仕方なかったので、体の疲労はそこまでなかったです」と準決勝の智辯和歌山戦でも疲れを一切感じさせないプレーを見せた。

 特に圧巻だったのが、5回表に一死満塁のピンチを凌いだ場面。5番・岡西 佑弥(2年)を変化球で三振、6番・渡部 海(2年)をストレートで一邪飛に打ち取り、多賀監督を感嘆させた。

 しかし、力及ばす1対5で敗戦。頂点まであと二つというところで甲子園を去った。1年生から学年内でリーダーシップを発揮していた山田は甲子園から帰郷したその日に多賀監督から主将に任命される。「自分がやるしかない」と覚悟を決め、新チームのスタートを切った。

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