挫折も味わったエリートピッチャー・三浦銀二。原点であるストレートを磨き直し復活【後編】
今年の法政大のエースとしてプロからも注目される三浦 銀二。福岡大大濠時代は甲子園ベスト8を経験。さらに高校日本代表にも選ばれ、3位入賞に貢献。法政大では現役トップとなる10勝をマークしている。
今回は法政大での歩みを伺った。
思い通りにいかない3年間
三浦 銀二(福岡大大濠-法政大)
高校生離れした投球を見せる本格派右腕。ドラフト候補として注目された三浦は、プロ入りするかどうか、最後まで悩んだ。
「最後まで迷っていましたが、ずっとプッシュしてくれていたのが法政大の当時の監督だった青木監督でした。(福岡大大濠監督の)八木先生と相談しながらどうすべきか悩んでいて、高校入学時からプロに行きたい気持ちはありましたが、青木監督から『大学4年間は遠回りさせないから』と言ってくれて、八木監督も4年間で経験を積んでプロを目指すのもいいんじゃないかと言われて決めました」
法政大に進んだ1年春から7試合に登板。2勝0敗、防御率2.77と好発進。2年春まで通算7勝。順調に勝ち星をつかむ。それでも三浦は「最初は勢いだったんですけど、打たれる試合も多くなって、凄いところで投げているんだな」とレベルの高さを実感していた。
3年は春、秋ともに防御率2点台なものの、未勝利に終わる。この1年が一番苦しい時期だった。
「何やってもうまくいかない。自分がどうすればいいかわからない。フォームのことで悩んで、結果的に打者に立ち会えない。相手に向かっていく姿勢ではなく、不安のまま投げていた試合が多かった。非常に反省点が多かったシーズンでした」
3年冬が終わって、三浦は自分の投球の軸は何かと考えた時、やはり「直球」にいきついた。
「自分がどうしたいかを考えた時、やはり直球を軸に投球していきたいと思いました。
レベルが上がっても通用できるような直球を投げたいと思ってて、3年生の自分は、直球をしっかり投げれるようなフォームでは無いなと思って、フォームの見直しから始めました」
復活と成長のポイントは下半身動作の改善がカギ
三浦銀二(福岡大大濠-法政大)
投球フォームのポイントについて三浦は地面をしっかり噛むことを意識した。
「しっかり地面を噛んで、プレートを押していくイメージで投げると自分的にハマりました。地面を噛んで、横の移動時間を長くする。このイメージです。
そのために地面を押していく投球フォームを確立するために、投球フォームの中で使う動作に順じたトレーニングだとか、ランニングもそうですけど、テンポよく走るとか考えてやっていました」
だんだん調子を上げていき、絶好調の試合では、ほぼ完璧に封じ、三振を多く取り、手が出せない試合もあった。好調時の回転数2500後半。三浦が目指すストレートはできつつあった。
ただ春のリーグ戦では満足行く投球ができたかというと、そうでもない。慶応大戦でノーヒットワンランを達成するなど、2勝を挙げ、復活した姿を示したように見える。ただ慶応戦では、思い通りの投球ではなかった。
「力んで、コントロールを乱して、四球も多かったですし、相手打者の打ち損じも多かったですので、あまり自分の中ではピッチング、球質では満足するものではなかったです」
さらに全体の投球を振り返ると、反省点が多いシーズンだった。
「自分の中では、もっとできた部分もあって、真っ直ぐで見逃し取れて、ファウルを取れた走者がいる場面で球威が落ちてコントロールが乱れた部分、試合の中で修正できなかったことが反省点です」
夏のオープン戦では、引き続き伸びのあるストレートを投げるために、投球動作のトレーニング、瞬発系のトレーニングを増やし、順調に調整を続けていた。
しかし野球部の新型コロナ集団感染の影響で、野球部は活動休止。三浦は休止前、こう意気込んでいた。
「ラストシーズンということで4年間の集大成にしたいシーズンなので、7シーズン分の成長を見せられるように腕を振っていきたいと思います」
高校時代から描いていたプロ入り。この4年間は即戦力投手として活躍できる土台を築いてきた。
チームとして苦しい状態が続いているが、ラストシーズンでは、過去最高の投球を見せていく。
(記事=河嶋 宗一)