目標は50本塁打 松川虎生(市立和歌山)は甲子園で強打発揮なるか【後編】
世代NO.1投手との呼び声高い小園 健太の活躍に注目が集まるが、女房役・松川 虎生も世代を代表する大型スラッガーだ。
貝塚ヤング時代は小園とともに第26回ヤングリーグ選手権大会で全国制覇を経験したスーパー中学生だった松川は身長178センチ、体重98キロという大きな身体を存分に使ったフルスイングで高校通算31本塁打まで記録。
そして捕手として二塁送球は最速1.9秒という数字を残しており、「打てる捕手」としてラストイヤーの活躍に期待が高まっている。
今回は1年生の夏以降の歩みや捕手としての技術論にも迫っていきたい。
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通算31本塁打の強打の捕手・松川虎生(市立和歌山)が誕生するまで【前編】
松川の握り替えこだわり
春の県大会で智辯和歌山にインコース攻めから課題に向き合った松川は、夏も4番としてスタメンに名を連ねる。特に3回戦では世代を代表する投手の1人・落合 秀市から二塁打を放つ活躍でチームの勝利に貢献するも、準々決勝・南部戦では3対4で敗戦してしまい、松川の1年生の夏は終わりを告げる。
新チームとしてスタートを切ると、サードから本職の捕手に戻ることとなり、松川は攻守の要としてチームを支える立場になる。だが最初は戸惑いもあったことを松川は語る。
「低めのボールを捕球する際に、最初は注意されることが多かったです。僕は腕を使って親指をふっと上げるようにして捕るように心がけているのですが、そこを注意されることが多かったです」
低めのボールを綺麗に見せるために、上からかぶせるのではなく、すくい上げるように捕っていた松川。その動作を高校でも使えるように改善に努めたとのことだが、捕手としての最大の魅力は二塁送球1.9秒のスローイングだろう。
体重98キロと大きな身体であるが、軽快なフットワークで鋭い送球を見せる松川。どういったことを意識すれば、そういったボールを投げられるのだろうか。
「大事なのは捕ってからの速さやコントロールだと思っています。なかでも捕ってからの握り替えはこだわりを持っていて、捕ってからミットを横に引くんじゃなくて、右肩に引き寄せるようにします。こうすることで、二塁に対して左肩をしっかりと向けるようにしています」
それに伴ってステップも松川は工夫をしている。一歩目は甲斐 拓也(楊志館出身)と同様に左足から動かすタイプだが、そこからが独特だ。
「右足は寄せるんじゃなくて、真横に引くようにしています。出来るだけ上半身の動作と連動させるためにステップも横にしますが、その勢いを使って投げるようにはしています」
多くの捕手が左足に右足を寄せるところだが、松川は真横にステップ。そこから反動を使って投げるという難しい動作だが、これが松川のスローイング支えているのだ。
[page_break:目標は50本塁打]目標は50本塁打
正捕手として復帰した秋は県大会準決勝で敗戦。悔しさを胸にオフシーズンを過ごすも、コロナ禍の影響で練習自粛。身体を絞りながら自粛期間を過ごし、昨夏の代替大会にもスタメン出場し、チームの勝利に貢献した松川。
残念ながら優勝とはならなかったが、自分たちの代が始まると主将としてチームを牽引する立場となった。
「チームとしてはしっかり自分のスイングをすることを心がけていましたが、自分の場合はチャンスでの1本を出せるように意識していました」
そして迎えた秋季大会では智辯和歌山や和歌山東などのライバルを倒して優勝。近畿大会に駒を進めると、初戦の東播磨とはしびれる投手戦を2対1で勝利。選抜に大きく関係する準々決勝・智辯和歌山戦へ駒を進めた。
秋だけで3度目の対戦となったが、序盤から市立和歌山が先取点を奪いリードする展開。このリードを小園 健太-松川バッテリーが守り切って見事勝利。選抜出場へ大きく近づいた。
その後、智辯学園には敗れたが、近畿大会4強進出を果たした。ただ攻守ともに課題があることを感じ取っている。
「全国で活躍するためには飛距離を出せないといけないので、そのコツを覚えないといけないですし、守備でもスローイング以外にもストップや配球を覚えないといけないです」
攻守でチームを牽引するべく最後の冬に挑む松川。そんな松川に最後に意気込みを語ってもらった
「今は31本塁打ですが、50本塁打に到達すること。また全国の舞台で打てるように練習をやっていきたいです」
世代屈指の大型捕手・松川 虎生は最後の1年でどんな活躍を見せるのか。数多くのアーチでチームを牽引することを楽しみにしたい。
(記事=田中 裕毅)
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